事例で解説する、超高速開発に向く案件と向かない案件本当はうさんくさくない、超高速開発のリアル(4/4 ページ)

» 2018年01月26日 07時00分 公開
[堀井大砂ITmedia]
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まとめ

 連載第2回は、超高速開発の特性を事例ベースで次のように整理しました。

  • 開発標準と開発工程の省略で短期、高生産性を実現する。ただし、ロックインに対する割り切りは必要
  • エンドユーザーと共に画面を見ながら要件定義することで手戻りを防止し、高い満足度を実現する。ただし、要件の肥大化には注意が必要
  • 定型化・標準化により生産性向上と高品質を実現する。故に、複雑な画面開発は苦手
  • ノンコーディングで実装技術が不要。ただし、個々のアプリケーションに最適な性能を作り込むための設計技術は必要

 「実行エンジン型」であるFastAPPを適用した案件の中で実際に起きた事例を通して、超高速開発に共通するケースを紹介しました。連載第1回で、超高速開発ツールは「スーツのセミオーダーのようなもの」と説明しましたが、今回は適用シーンの判断基準を事例を通じてより具体的に紹介したわけです。皆さんの会社でも適用できそうなケースがあるのではないでしょうか。「あそこで使えそうだ」「全部は無理だけど、管理系になら使えるんじゃないか」などと考えるきっかけになればうれしいです。

 超高速開発ツールは、日々進化しています。以前できなかったことも、新機能で解決していたり、別のツールでは実現できていたりすることもあります。また、「実行エンジン型」と「ソースコード生成型」でも特徴が異なります(コラム「超高速開発ツールの種別」参照)。自社のユースケースに合うツールや事例がないか、知見を得るために「超高速開発コミュニティー」が毎月開催しているユーザー事例セミナーにご参加いただくことをお勧めします。

 次回は超高速開発の最新事情と今後についてご紹介します。

コラム: 超高速開発ツールの種別

 超高速開発ツールは、「実行エンジン型」と「ソースコード生成型」の2つに大別されます。

 実行エンジン型は、プログラミング言語でいうスクリプト(インタプリタ型言語)のように、作ったら即時実行できるのに対し、ソースコード生成型は、コンパイラ型言語のように、コンパイルし、実行環境にデプロイしてから実行するタイプです。

実行エンジン型 ソースコード生成型
設計情報 リポジトリに格納 リポジトリに格納
実行環境 開発ツールと実行環境が一体 開発ツールと実行環境が異なる
実行方法 実行環境がユーザーからの操作リクエストを受けて、設計情報をもとにエンジンが随時、動的に画面を生成して返す。 設計情報から生成したソースコードをコンパイルした結果のモジュールをサーバ上で実行する。
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著者プロフィール:堀井大砂(ほりい おおさ)

SCSK シニアプロフェッショナルITアーキテクト。

CSK入社後、情報システム部門で開発や運用を担当。IT企画部門を経て、現在は事業部門でFastAPPのプロダクトオーナー兼アーキテクトを務める。超高速開発コミュニティー幹事。


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