「ブロードバンド大国、日本」の会社員は、いつまで大雪の日に出社するのか半径300メートルのIT(1/2 ページ)

ブロードバンドネットワークもPCもスマートフォンも普及し、テレワーク活用の準備は万端なのに、日本の会社員はいつまで交通機関がマヒするような大雪の日に会社に行くのでしょうか。

» 2018年02月07日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]
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 2018年1月22日、東京に大雪が降りました。お昼頃に降り始めた雪は次第につもり、夕方の交通網が大混乱したのはご存じの通り。多くの企業が「終業前に帰宅すべし」という指示を出したようで、いつもの帰宅ラッシュより早い午後3〜4時くらいから混乱が始まっていました。

 しかし、混乱が起こるであろうことは前日から予想できていたはず。不思議なのは、日本はここまでPCやスマートフォン、そしてブロードバンド接続が普及しているのに、なぜか「テレワーク」が普及していない(もしくは機能していない)ことです。

テレワークは「人生に関わる問題」

 テレワークが一躍、注目されたのは、2011年3月の東日本大震災がきっかけでした。災害時でも事業を継続するという観点から、環境を整備する企業が増えたのです。少子高齢化が進み、人手不足が深刻化している現在では、事業継続よりも、「働き方改革」という観点でのテレワークが注目されています。

 働き方改革におけるテレワークは、社員の誰もがいつでも気軽に利用できるものでなければなりません。例えば先日のように、事前に大雪が降ることが分かっているのなら、無理して出社するよりもテレワークを選択し、家で仕事ができれば混乱に巻き込まれることもありません。また、全国でインフルエンザが大流行している現在(2018年2月上旬)のような状況なら、予防を兼ねて自宅で作業することを選べてしかるべきでしょう。

 さらに深刻な問題もあります。働き盛りの世代が戦線離脱を余儀なくされる「介護離職」のリスクです。40代を超えると、親の介護に時間を割かなければならない場合もあるでしょう。親が同居していればいいですが、地元に戻って介護するような場合には、今の仕事を捨てなければなりません。大事な戦力であるその世代が、やむを得ない事情で退職するのは、企業も本人も本意ではないでしょう。

 今では全国津々浦々に、ある程度の帯域を持つブロードバンドネットワークがあり、PCもスマートフォンもあるわけです。その下地があるのなら、さまざまな事情があって会社に通えない社員が、安心して「自宅でも」「地方でも」働ける、テレワークが重要になります。既に日本では、人生の課題を解決するためのIT技術が普及しているのに、大事なときに使われないなんてもったいないと思いませんか?

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