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» 2018年02月14日 07時00分 公開

Mostly Harmless:AIの勉強をする必要はない。AIが向こうからやってきてくれるから。 (2/2)

[大越章司,ITmedia]
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もはやAIにビッグデータは必要ない?

 今は第3のAIブームといわれます。第1のブームが1960年代で、このときはパーセプトロンなどの現代につながる研究成果がありましたが、コンピューティングパワーが足りなかったり、アルゴリズムが成熟していなかったりして実用に足るAIは実現できませんでした。第2のブームが起こった1980年代には、人間の知識をルール化して推論を行おうというエキスパートシステムを目指しました。日本でも第5世代コンピュータプロジェクトが立ち上がりましたが、このときも目に見える成果を上げられませんでした。人間の知識は明文化できないものが多く、ルール化できなかったのが一因といわれています(ただ、このときに育った人材が今の日本のAI研究を支えているという見方もあります)。

 この反省に立って、人間がルールを作るのではなく、大量のデータからコンピュータが自動的にルールを生成して学習するという仕組みが生まれ、第3のブームにつながります。これが機械学習です。AIのために大量のデータ(ビッグデータ)が必要とされるのは、こういった理由からでした。

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 しかし、Alpha Zeroの登場で、ビッグデータは必ずしも必要なくなるのかもしれません。もちろん、まだAlpha Zeroの適用分野は未知数であり、囲碁やチェスではなく、画像認識の分野では、まだビッグデータが有効といったことなのかもしれません。ただ、以前書いたように、画像認識の分野でも少ない学習データで成果を上げている例も出てきています(Alpha Zeroとは異なるアプローチと思いますが)。

 冒頭に紹介したGoogleのサービスは、面倒な設定をしなくても手持ちのデータを与えるだけで機械学習してくれるというところを自動化するサービスですが、おそらくAlpha Zeroの技術が一般化すれば、やりたいことを指示するだけで勝手にAIができてしまうことになるのかもしれません。「過去の例に倣う」ことで成長してきたAIが、自ら道を切り開き始めたということなのでしょう。これは、将来から今を振り返ったときに、大きな転換点だったということになるのかもしれません。

著者プロフィール:大越章司

外資系ソフトウェア/ハードウェアベンダーでマーケティングを経験。現在はIT企業向けのマーケティングコンサルタント。詳しいプロフィールはこちら


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