連載
» 2018年05月14日 10時00分 公開

日本企業が総力戦で開発 「製造業向け“エッジ”技術」は世界に羽ばたくかWeekly Memo(2/2 ページ)

[松岡功,ITmedia]
前のページへ 1|2       

「クラウドIoTプラットフォーム」と幅広く連携可能

 Edgecrossコンソーシアムでは自らの活動について、企業・産業の枠を超え、エッジコンピューティング領域を軸とした新たな付加価値創出を目指し、グローバルで需要が高まっているIoT化や、日本政府が提唱する「Society 5.0」とそれにつながる「Connected Industries」の活動に寄与するとしている。(図3)

Photo 図3 「ものづくり」を取り巻く環境(出典:Edgecrossコンソーシアムのサイトより)

 今回、基本ソフトウェアとマーケットプレースの提供を始めたことを皮切りに、同コンソーシアムの金井正一代表幹事は今後、「部会活動などを通じたEdgecrossのユースケースの構築」「活動をより活性化するための会員加入活動の推進」「関連団体とも連携したEdgecrossの標準化」とともに、「海外展開」を積極的に図っていく考えを発表会見で示した。

Photo 会見に臨むEdgecrossコンソーシアムの金井正一代表幹事

 このEdgecrossを巡る動きから、筆者は自らの経験で思い出すことがある。1990年代初め、新聞記者としてFA分野を2年ほど担当していたとき、「CIM(コンピュータ・インテグレーテッド・マニュファクチャリング)」という、今でいうエッジコンピューティングに向けた取り組みが注目された。

 このCIMをテーマに、さまざまな業種の生産現場をおよそ50カ所取材した。それで痛感したのが、FAとITの乖離(かいり)だった。当時、CIMはその解決策として取り組み始めた企業も少なくなかったが、その直後に起きたバブル崩壊で、そうした動きはほとんどど吹っ飛んだ印象がある。

 少々余談になったが、言いたかったのは、FAとITがいかに乖離していたか、である。今回、Edgecrossにおいて「FAとITを協調させる」ことをそれこそ“強調”しているのは、今でもそこに課題があることの裏返しだろう。

 ただ、今回はEdgecrossが広がる可能性も大いにありそうだ。そのカギを握るのが、先ほど述べたポジショニングである。どういうことかというと、以前と違って、ITの部分に有力なグローバルベンダーが「クラウドIoTプラットフォーム」を続々と提供し始めているからだ。Edgecrossはより生産現場に近いエッジコンピューティングの技術として、これらと連携するポジションなので“共生”できる可能性がある。この点を会見の質疑応答で聞いたところ、金井氏は「Edgecrossはどことも競合せず、連携して協調するオープンな姿勢で臨んでいる」と答えた。(図4)

Photo 図4 幅広く連携可能なEdgecross(出典:Edgecrossコンソーシアムのサイトより)

 これまた余談だが、かつてFAの要であるPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)で激しい市場競争を繰り広げてきた三菱電機とオムロンが手を組んで同コンソーシアムをリードしているのも、時代の移り変わりを感じた。

 果たして、日本発の製造業向けエッジコンピューティング技術は世界に羽ばたけるか。注目しておきたい。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ