注目すべき5つのソフトウェア定義ストレージサプライヤーソフトウェア定義ストレージの進化(後編)

ソフトウェア定義ストレージ市場を活性化させるのは、個性的な新興企業だ。数あるサプライヤーの中から、注目に値する5つの新興企業とその製品を紹介する。

» 2018年07月18日 10時00分 公開
[Chris EvansComputer Weekly]

 前編(Computer Weekly日本語版 7月4日号掲載)では、ソフトウェア定義ストレージの基礎から進化の方向性、製品の選び方を解説した。

 後編では、注目すべき5つのソフトウェア定義ストレージサプライヤーを紹介する。

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ソフトウェア定義ストレージサプライヤー

 本稿で製品をまとめるに当たって注目したのは、ソフトウェア定義ストレージを提供している比較的小規模な新興企業だ。ブロックストレージ、ファイルストレージ、オブジェクトストレージを混在させた製品と、その3つ全てを満たそうとせず、いずれかのユースケースを重視するソリューションがある。

StorPool

 StorPoolは、ブロックストレージを重視するスタートアップ企業だ。StorPoolは2011年にブルガリアで創立され、英国と米国にも拠点を構えている。同社のソリューション「StorPool」は分散スケールアウト型ブロックストレージで、「Linux」で動作するコモディティコンポーネントを使用する。

 ノードはストレージプロバイダー側にも利用者側にも配置できるため、専用ストレージプラットフォームとしても、ハイパーコンバージド形式でも導入できる。Linux以外のプラットフォームをサポートする場合は、例えば「Windows」や「VMware vSphere」にiSCSIボリュームをエクスポートする。

 同社が主にターゲットにするのは、顧客向けソリューションの開発に取り組んでいるマネージドサービスプロバイダーやソリューションプロバイダーだ。プラットフォームをインストールして直接サポートするという点が、StorPoolを独特の存在にしている。サポートには、ソフトウェアのアップグレードやパッチの適用が含まれる。

Core Technology

 東欧のストレージ関連スタートアップ企業Core Technologyは、現時点では分散型ファイルシステム「MooseFS」に力を入れている。同社のプラットフォームは、オープンソースリリース(ライセンスはGPL v2)と、高い可用性をサポートするエンタープライズレベルの機能を含む製品(「MooseFS Pro」)で提供される。

 ほとんどのソフトウェア定義ストレージソリューションと同様、MooseFSはLinuxに導入され、一元管理、メタデータバックアップ、ストレージ機能をサポートする。クライアントは、Linux、Windows、「macOS」などをサポートする。さらに、「Raspberry Pi 3」と「Raspbian Jessie」(Raspberry Pi用OS)を使って、ArmでMooseFSを実行することもできる。

 MooseFSは、階層化ストレージのサポート、イレージャーコーディング、POSIX準拠を全て備え、純粋なストレージとしても、ハイパーコンバージドモードのストレージとしても導入できる。このソフトウェアは、VM、インスタンス、専用ハードウェアにも簡単に導入可能だ。

Minio

 Minioは2014年に創立され、2017年末には2000万ドルを売り上げた気鋭の開発企業だ。同社の「Minio」は複数のコンテナで構成されるオブジェクトストレージプラットフォームだ。

 Minioは、「Docker」とKubernetesをネイティブに運用することも、「Microsoft Azure」や「Google Cloud Platform」などのパブリッククラウド環境で運用することもできる。

 Minioは、DockerのボリュームプラグインやNetAppなど従来型のストレージプラットフォームを含むベンダーが提供している永続ストレージ、VMやクラウドインスタンス上のローカルドライブを使って展開する。

OpenIO

 OpenIOはフランスのリール郊外に本拠を置くストレージスタートアップ企業だ。同社は「SDS」というオープンソースのオブジェクトストレージソリューションを開発している。ここまでに取り上げたソリューションの大半と同様、SDSはスケールアウト型のノードベースのアーキテクチャで、Linux上で動作し、x86アーキテクチャやArmアーキテクチャに導入できる。SDSは、仮想ハードウェアと物理ハードウェアが混在する環境にも導入可能だ。

 SDSは、サーバレスフレームワークを用意して、オブジェクトストアの標準モデルを拡張する。サーバレスフレームワークは、オブジェクトストア自体に保存されたコンテンツと相互運用される。SDSにコンテンツが追加されるときに、それをトリガーにしてアクションを呼び出せる。このアクションでは、コンテンツの検証やインデックス作成、トランスコーディングなど、広範なタスクを実行できる。

 OpenIOのオープンソースモデルは、基本機能を備えたソフトウェアにアクセスできる。有料プランを使えばWebGUIサポート、イレージャーコーディング、追加の導入ツールなどの機能を拡張可能だ。

Rozo Systems

 Rozo Systemは、2010年にフランスのナントで設立されたスタートアップ企業だ。同社の「RozoFS」はPOSIX準拠のスケールアウト型ファイルシステムで、ナント大学が開発し特許を取得したイレージャーコーディング技術「Mojette Transform」を使用する。

 RozoFSは、VMやパブリッククラウドのインスタンスとして、Linuxか専用ハードウェアのいずれかに導入される。パフォーマンスと容量は4〜1024個のノードにスケール変換でき、最大1024個のデータボリュームをサポートする。このソリューションは、分析やコンテンツ配布など、高いパフォーマンスを必要とする並列ワークロードに狙いを定めている。

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