働き方改革にAIを活用 “自然言語解析技術を結実させたAI”でNTT Comが新境地に挑戦Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2019年04月01日 12時00分 公開
[松岡功ITmedia]
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AIサービスで通信キャリアのイメージが変わるか

 新サービスについては先述の通りだが、三竹氏が会見でCOTOHAシリーズの変遷や戦略展開について説明していたので紹介しておこう。

 まず、COTOHAシリーズは、NTTグループが40年以上にわたって蓄積、精練した210万語を超える日本語辞書とAI関連技術「corevo(コレボ)」をベースに、NTT Comが独自開発した自然言語解析技術である。これまで、人間の代わりに対話できるバーチャルエージェントや、英語検定のTOEICで900点を超える精度に相当する翻訳サービスを提供してきた。

 現在、COTOHAシリーズは、自然な日本語を高い精度で理解して必要な情報を自ら聞き出す対話ができる「COTOHA Virtual Assistant」(発表は2016年10月)、インテリジェントな意味検索によりユーザーの自己解決を支援する一問一答型のAIbotサービス「COTOHA Chat&FAQ」(同2017年1月)、企業向け機械翻訳サービス「COTOHA Translator」(同2018年1月)、日本語辞書/自然言語を活用したAPIプラットフォーム「COTOHA API」(同2018年9月)があり、COTOHA Meeting Assistが最新サービスとなる。

 さらに、間もなく音声マイニングサービス「COTOHA Voice Insight」、その後、AIが文書を読解して質問に答える知識支援サービス「COTOHA意味読解(仮名)」の投入や、既存サービスの機能強化を図っていく計画だ。

 また、COTOHAシリーズの戦略展開については、図2に示すように“AI Everywhere”をスローガンとして掲げ、「顧客接点の強化」「ワークスタイル変革」「社会課題解決」の3分野に焦点を当てていく構えだ。この点でいうと、今回のサービスはワークスタイル変革に当てはまる。

Photo 図2 スローガンは“AI Everywhere”(出典:NTT Comの会見にて撮影)

 このCOTOHAの技術水準について、かつてNTT Comの代表取締役社長 庄司哲也氏が筆者の取材に対し、次のように答えた。

 「NTTのAI技術が海外ベンダーのものに比べて劣っているとは思わない。中でも当社が提供しているCOTOHAは、日本語に対応した言語解析エンジンとして他の追随を許さないと自負している。しかし、AIを実際に活用できるようにするためのサービス展開や、プレゼンスを向上させるための取り組みという点では、海外ベンダーに後れを取っているように見られても仕方がないところがある。従って、私どもとしてはAIをこれからもっと分かりやすいサービスとして提供するとともに、プレゼンスを一層高めていく手だてを講じていきたい」

 この庄司氏の言葉通り、COTOHAシリーズは着実にラインアップを強化しているようだ。とはいえ、NTT Comは通信キャリアのイメージが強く、ここ数年クラウドサービスにも注力しているものの、アプリケーションを自ら積極的に手掛けている印象はない。その意味では、COTOHAシリーズの展開は同社にとって新境地へのチャレンジである。

 ただ、筆者の予感では、COTOHAシリーズの普及がNTT Com、ひいてはNTTグループのありようを大きく変えるきっかけになるかもしれない。その“潮”の流れを注視しておきたい。

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