次の買い換えでiOSデバイスを売らないほうがいいたった1つの理由半径300メートルのIT(1/3 ページ)

Appleは、2019年の秋にリリースするiOSに新機能「Find My」を実装します。これは、紛失や盗難に遭ったiOSデバイスの位置を、端末がオフライン状態でも探せるというもの。ただし、この機能を使うにはiOSデバイスが「もう1台」必要になります。手元にある“ちょっと古いiPhone”は、手放さないほうがいいかもしれません。

» 2019年06月11日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]

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photo WWDC19トップページより

 2019年6月3日(現地時間)、アップルの開発者会議「WWDC19」が開催されました。びっくりするほどプロ向けな(高価過ぎる)Mac Proの発表や、とうとう「iOS」から分離した「iPadOS」の発表など、心躍るニュースがたくさん登場しています。根っからのアップルファンにとっては、楽しい基調講演だったのではないでしょうか。

 その中でも、個人的に大変興味深い発表が、ひっそりと行われました。あまりにひっそり過ぎて、解説記事が出るまで完全に理解できないある機能が、次のiOSバージョンから実装されます。その注目の機能の名は「Find My」です。

photo WWDC19で発表された「Find My」機能(基調講演より)

iPhoneが“オフライン”でも今ある場所が分かる

 「Find My」とは、自分のiPhoneやiPad、Macなどが今どこにあるのかを表示してくれる機能です。これまでは「iPhoneを探す」というアプリが用意されており、iPhoneを落としたときにデバイスのありかを調べたり、拾った方に警察に届けることを促すメッセージを表示したりすることができました。モバイルデバイスは肌身離さず持ち歩くものですので、こういった万が一の備えは大変ありがたいものです。読者の中にも、もしかしたら「iPhoneを探す」に救われた方がいらっしゃるかもしれません。

iPhone、iPad、Mac、Apple Watch を探す - Apple サポート 公式サイト

 日本には善意の方が多く、落としても無傷で返ってくる割合が高いと聞きますが、一般的にiOSデバイスは「高く売れるもの」として認識されています。盗まれたが最後、初期化して売却されてしまうことも、珍しくありません。対策として「アクティベーションロック」が用意されていますが、これは第三者による端末の再アクティベートを防ぐ機能で、端末を確実に取り戻す方法ではありません。

 「iPhoneを探す」は、オンライン状態の端末を探す機能です。通信を切られてしまうと、持ち主がたどれるのは、通信を切る直前の位置情報までになってしまいます。ちょっと頭のいい犯罪者であれば、デバイスの電源や4G通信、Wi-Fiを切って、位置情報を送信しないようにしてしまうでしょう。

 そこでアップルが考えたのが、「Find My」。まだ詳細は語られていませんが、基調講演での話を聞く限り、4GやWi-Fiを切っていたとしても「Bluetooth」を利用し、位置情報を送信し続けるという機能のようです。Bluetoothはご存じのように、ヘッドフォンやリモコンなどの用途で使われる、ごく近距離でのみ通信するもの。もちろん、インターネットには接続できません。

 それではどうやってデバイスの位置情報をインターネットに伝えるかというと、なんと「近くにいる、インターネットに接続できるiOSデバイス」の力を借りるというのです。盗難に遭ったiPhoneは、自分の位置情報をBluetoothで発信し続けます。発信された位置情報は、近くを通りかかった別のiPhoneやiPadに受信されます。位置情報を受信した端末がインターネット上にそれを送信することで、オフラインであっても位置情報が分かる、という仕組みなのです。これは以前紹介した忘れ物防止タグ「MAMORIO」に非常に似ていますね。

 特に日本においてはiPhoneのシェアが高く、人口密集地ではかなりの効果があるのではないでしょうか。講演ではバッテリーに関する影響もごく限られたものと述べられていますので、iOSユーザー全体で盗難から身を守るという互助的な意味合いでも面白い仕組みだと思います(もちろん、どこかのタイミングで利用規約に明記がされるはずですが)。

photo 通信は暗号化され、プライバシーは確保していると述べますが……どうやって?(基調講演より)
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