デジタルビジネスの“先行指標”――アクセンチュアにみる「コンサル×AI」の行方Weekly Memo(1/2 ページ)

企業はこれからAIなどを活用したデジタルビジネスをどのように進めればよいのか。アクセンチュアが進めるデジタルビジネスを基に考察してみたい。

» 2019年07月08日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]

デジタル関連ビジネスが全売上高の6割超に

 「デジタルを中心とした新しいビジネス領域が、2018年度のグローバル売上高の中で6割を超えた」――。こう語るのは、アクセンチュアの江川昌史社長だ。同社が先頃開いたデジタルビジネスに関する記者説明会でのひとコマである。

Photo 会見に臨むアクセンチュアの江川昌史 代表取締役社長

 多くの企業がこれからデジタルビジネスをどのように進めればよいかと試行錯誤している中、先を読むコンサルティングをなりわいとするアクセンチュアはやはり、新しいビジネスでも先行しているようだ。そこで、今回は同社の活動を基に、デジタルビジネスの取り組み方、さらには「コンサル×AI(人工知能)」の行方について考察してみたい。

 まず、江川氏の会見での説明に基づいて、アクセンチュアの現在のビジネスについて紹介しておこう。同社は図1のように、「ストラテジー」「コンサルティング」「デジタル」「テクノロジー」「オペレーション」「セキュリティ」の6つの領域のサービスを、「通信・メディア・ハイテク」「金融サービス」「公共・医療・健康」「製造・流通」「素材・エネルギー」の5つの産業分野に向けて提供している。

Photo 図1 アクセンチュアの6つのサービス領域

 グローバルでの売上高は2018年度(2018年8月期)で396億ドル(約4兆4000億円)。社員数は48万2000人。いずれも着実な右肩上がりを示している。日本法人の社員数は1万2000人超。業績についても「デジタル関連ビジネスが伸長し、5年連続で2桁成長を達成している」(江川氏)という。

 アクセンチュアというと、コンサルティング会社のイメージが強いが、実は先ほどの6つのサービス領域のビジネス規模でいえば、ストラテジーを含めたコンサルティングが2割、システム開発やクラウドなどのテクノロジーが4割、アウトソーシングを中心としたオペレーションが4割というのが基本的な構成比で、「巨大なシステムインテグレーター」と見ることもできる。

 では、江川氏の冒頭のコメントにある「売上高の6割超が新しいビジネス領域」とはどういうことかというと、新領域である「デジタル」と「セキュリティ」は上記の既存領域に入り込んでおり、さらにテクノロジーに含まれている「クラウド」を新領域に加えると、全売上高の6割超に達するという計算だ。

 その中からデジタルだけにフォーカスすると、図2のように、AIとアナリティクスが中心で全世界に5万人を超える専門要員を擁する「アプライドインテリジェンス」、IoTが中心の「インダストリーX.0」、カスタマーエクスペリエンスが中心の「インタラクティブ」の3領域をカバーし、それぞれに下段に記されているような外部の評価を得ているという。

Photo 図2 デジタル領域のサービス概要

 こうした事業体制の下、江川氏は今後の同社のデジタルビジネスにおける注力ポイントとして「インダストリーX.0×AI」という掛け合わせを挙げた。例えば、自動運転や小売店舗でのロボットによる接客などが当てはまる。しかもこのテーマは、日本が直面している人手不足問題への対処策にもなる。

 では、同社は具体的なビジネスとしてどのように展開しているのか。

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