上司は、命じられた業務を徹底しようと行動する部下の習性を理解し、業務の進め方に求めるレベルを再点検する必要があります。そのためにはまず、今引き継いでいる業務を可視化し、その業務を理解しましょう。それと同時に、ミスがあった場合に最低でもどの時点でリカバリーできればよいのか、その許容範囲を設定し、その中に収まるミスの処理は現場に判断を委ねる業務の進め方をお薦めします。
業務の片付け、4つの心得 | |
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(1)“脱過剰リスク対策” | 人間に任せる業務の100%ミス撲滅の看板を下ろす。 |
(2)“引き継ぎによる負の連鎖を断つ” | 業務の可視化を行い、業務の理解を図る。 |
(3)“脱やらされ感” | 業務の振れ幅を理解し、許容範囲を設定。 |
(4)“役割と分担の明確化” | 現場に判断を任せて、その許容範囲を逸脱した場合のみ上司が関与。 |
特に「脱過剰リスク対策」をした上で、その業務がルールに基づいて引き継げるものであれば、もはや人が行う必要はなく、デジタルレイバーに任せるべきサインと言えます。
そもそもデジタルレイバーとは、ルールエンジンやAI、機械学習などを含む認知技術やRPAを活用して、これまで人のみが対応可能と想定されていた業務を代行・代替する存在です。特に、ルール化された定型業務、時間のかかる単調な業務は、明らかに人より得意であると実証されています。
先に述べた事例の「議事録をみんなに共有する業務」に当てはめて考えてみましょう。会議出席中の議事録をノートにとることをやめて、最初からPCに入力するという業務フローにすれば、そこから先は、デジタルレイバーがその内容をダイレクトにイントラ内のグループウェアの回覧板に転載します。その後、未開封者には、「RPAがアラートメールを送って注意を促す!」と設計すれば、人は議事録をまとめる編集作業とタイピングの誤字脱字をチェックするだけで業務完了です。
「ムダな業務が永遠に引き継がれる」という負の連鎖を断ち切るには、管理者はリスク対策に走るのではなく、まず担当者に業務の棚卸しを促し、過剰なリスク対策によって発生した「ムダな業務」から担当者を解放してあげることが重要です。
「引き継ぎの魔物」という強敵は、担当者にただ任せているだけではいつまでたっても倒せない――その点を理解し、業務の可視化を通じて、不要な業務の片付けに着手してみてはいかがでしょうか。
RPA(Robotic Process Automation)導入支援事業ならびに、人材派遣・技術者派遣、BPO・アウトソーシング、さらにRPAの諸スキルを持ちえたヒューマンリソースとAI・ロボットを組み合わせたデータインテリジェンスコンサルティングなど、企業ニーズに合わせた幅広いサービスを展開する。2015年4月に第1期「優良派遣事業者」に認定される。
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