出光興産とグリッドが「内航船による海上輸送計画の最適化」に向けた実証実験に取り組んでいる。既にAIが輸送効率や在庫率などの改善につながる結果を出している。
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サプライチェーン分野の最適化実現に向けてAI(人工知能)活用が模索されている。石油元売りの出光興産とテクノロジーベンチャーのグリッドは2019年12月9日、「内航船による海上輸送計画の最適化」の検証を2019年6月から開始したことを明らかにした。既にAIが輸送効率や在庫率などの改善につながる結果を出している。
石油生産拠点から油槽所に向けて製品を海上輸送する配船計画は、担当者が複雑な制約条件を考慮しながら時間と手間をかけて策定してきた。サプライチェーン業界としても熟練者の勘や経験に頼る部分が大きいことが課題だったが、計画業務が非常に複雑なためIT活用による最適化や自動化は難しいと考えられてきた。
実験において、出光は配船オペレーションの知見、製油所や油槽所の在庫情報、船舶情報などを、グリッドは数理最適化手法、深層強化学習などのAI技術、社会インフラ分野で培ったAI解析の知見などを提供する。数理最適化手法とは、多様な制約下で多くの選択肢の中から特定の目的や指標を最大化あるいは最小化させる値を求める「数理最適化問題」を解くためのものだ。
両社は、実証実験で得られたAIに関する知見を実際のオペレーションに組み込み、配船計画にとどまらないサプライチェーン全体の最適化を視野に入れている。実証実験が終了する2020年5月までに深層強化学習などのAI技術を業界で初めて配船計画に活用して、最適化や自動化、高速化の実現を目指すという。
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