「パスワードレス認証」が進行中 FIDOで変わる、セキュリティの常識半径300メートルのIT(3/3 ページ)

» 2019年12月17日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]
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実は目の前にあるパスワードレス世界

 実はこの世界、もう目の前に来ているのです。もしかしたら、皆さんはもう利用しているかもしれません。

 例えば「ゆうちょ認証アプリ」や「LINE Pay」などで、このFIDOの仕組みが導入されています。また、2020年2月にNTTドコモの「dアカウント」の認証がパスワードレス化しますが、これもFIDOが採用されています。

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 実は上記の「FIDO認証器」というのも、「Android 7.0」には標準機能としてFIDO認定が行われていますし、「Windows 10」における「Windows Hello」でも同様に認定されています。主要なWebブラウザはFIDOに対応しているので、スマートフォンやPCの生体認証機能と組み合わせれば、パスワードの問題を解決できるはずです。

FIDO対応デバイス台数 FIDO対応デバイスは2019年12月時点で20億台(提供:FIDOアライアンス)

 残りの課題は、Webサイト側の対応でしょう。Yahoo!やNTTドコモ、LINEといったFIDOアライアンスボードメンバーの対応スピードは目を見張るものがあります。この先、もっと対応サービスが増えてほしいと思います。

 また、この仕組みにAppleの「iPhone」が加わっていないのは、少々気掛かりです。Appleは、Webブラウザ「Safari」ではFIDO対応を進めているものの、iPhoneにおいては独自の施策「Touch ID」や「Face ID」「Sign in with Apple」などを推し進めているため、こちらを浸透させたいのかもしれません。

 ITは、世界を便利にするものです。セキュリティと利便性を両立し、安心して便利な仕組みを利用できる未来は、きっとやってくるはず。現時点でのパスワード管理は「使い回さず、管理ソフトで守る」といった方法がベストですが、それもFIDO対応サイトが増えれば変わっていくのではないでしょうか。

著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

『Q&Aで考えるセキュリティ入門「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。

2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門 「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる。


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