プログラミングを味方につける――定型業務を自動化し、生産性を大きく向上する身の丈に合った「一人働き方改革」のすすめ(1/2 ページ)

プログラミングは、業務を格段に効率化する最適な手段です。今回は「どのプログラミング言語を学ぶべきか」「どうすれば効果的に学習できるのか」が分からず、始めの一歩を踏み出せない方に向けて、プログラミング学習のイロハを紹介します。

» 2020年08月14日 07時00分 公開
[高橋宣成ITmedia]

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 大企業を中心にRPAの導入や残業時間の削減、副業の容認、テレワークの導入など、続々と「働き方改革」が進んでいます。一方で中小企業の中には、売上維持や繁忙期と閑散期の差を埋めるといった目的のため、いまだにマンパワーに頼る企業も見受けられます。皆さんの会社はどうでしょうか?

 本連載「身の丈に合った『一人働き方改革』のすすめ」は、自分一人で始められ、かつ効果も期待できる働き方改革のさまざまな手法を紹介していきます。

 第9回のテーマは「プログラミング」です。非効率な業務を改善する武器を手に入れましょう。

ルーティンワークの自動化には時間的コストがかかる

 本連載第1回で、自らの生産性を可視化し、無駄を改善する方法を紹介しました。

 おさらいをしますと、以下の表のような「リスト」を作り、日々の行動を「投資」と「浪費」に分類します。「浪費」に当てはまる項目には、その時間をなくすか時間を削減する「施策」を記入していきます。

日々の行動を「投資」と「浪費」に分類し「浪費」には改善の施策を記入する

 ここに挙げた施策のうち、以下の問いに「はい」と答えられるものから優先的にアクションを起こしていきましょう。

  • すぐに実行できるか
  • すぐに効果が出るか
  • 効果が大きいか

 こうして作成したリストのうち、定型業務の自動化に関する施策は、大きな効果を生む一方で作業工数や資金、開発スキルの問題から後回しになる傾向があります。ここでは、こうした問題を解決するため、プログラミングを自力で習得する手段を考えていきます。

プログラミングの学習コストは高いが、その分リターンも大きい

 プログラミングを学ぶ最大の障壁は、その学習時間です。学習するプログラミング言語にもよりますが、一般的に、プログラミングを身に着け業務に利用できるまで、200〜300時間が必要といわれています。

 つまり、1日1時間の学習でも、必要時間に到達するには7〜10カ月かかります。それまでの間は実務に利用できないため、リターンはずいぶんと後になります。プログラミング学習で得られるメリットを適切に把握しなければ、なかなか手を付けづらいでしょう。

 プログラミングを習得すれば、定型業務を自動化してできた時間を、より価値の高い仕事やさらなるプログラミング学習に充てられます。また、チームや組織のために業務効率化ツールを開発したり、プログラミングスキルを持つ人材を育成したりできるでしょう。結果的に、会社やチームに貢献できる機会が増え、周囲の評価や信頼につながります。

 また、プログラミングの習得は、キャリアアップにもつながります。以下のグラフは、経済産業省による「IT人材需給に関する調査」です。グラフによると、今後IT人材の不足はさらに加速し、2030年には最大で79万人もの人材が不足すると予測が出ています。

平成31年4月 IT人材需給に関する調査概要(出典:経済産業省)

 ここでは「IT人材」を「IT企業及び、ユーザー企業の情報システム部門等に属する職業分類上の『システムコンサルタント・設計者』『ソフトウェア作成者』『その他の情報処理・通信技術者』」(原文ママ)と定義しています。しかし、この定義に当てはまらなくとも、企業のプログラミングスキルを持つ人材への需要は多く、実務に利用できるプログラミングスキルがあれば、十分にキャリアアップが期待できます。

 このようにプログラミング言語の習得は、これまでの連載で紹介した施策に比べるとハイコストハイリターンといえます。しかし、付加価値を考慮すればトライする価値は十分にあるでしょう。

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