社員の能力をフルに引き出す環境づくりを徐々に進めるゼブラの歩みグループウェアとテレワークを活用

文房具大国の日本で独創的な製品を生み出し続けているゼブラにとっての課題は、社員の能力をいかにフルに引き出すかだ。ゼブラはその実現に向け、グループウェアやテレワーク環境の活用を進めている。

» 2020年08月31日 10時00分 公開
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 文房具大国の日本で複数のメーカーが熾烈(しれつ)な市場争いを繰り広げる中、ゼブラは100年以上にわたってより使いやすく、書きやすい筆記具を数多く開発してきた。

 同社にとって、社員がパフォーマンスを発揮できる環境の整備は重要だ。その手段の一つとして、同社は2019年10月から在宅勤務のトライアルを開始していた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で2020年4月に緊急事態宣言が出されて以降、同社は在宅勤務の環境を生かして事業を継続している。

育休から復帰後の変化に戸惑う「浦島太郎化」をどう防ぐ? ゼブラの立てた作戦

 手書きの文化を大切にするゼブラは、より書きやすく使いやすい筆記具の開発を進めながら、アナログとデジタルとの融合にも取り組む。同社はこれまで、約900人の社員が利用する社内インフラやIT環境の整備を進めてきた。

 2015年には、それまで運用してきたクライアント/サーバ型のグループウェアからサイボウズのクラウド版グループウェア「Garoon」と「kintone」に移行し、社内の情報共有やスケジュール管理、コミュニケーション環境を刷新。ほぼ同時期から、営業など外出する機会の多い社員に「iPad」を配布し、出先でスムーズに電子資料の閲覧や発注処理ができるようにしてきた。

 企業によって「社員が働きやすい環境、成果を発揮しやすい環境」をどう定義するかはさまざまだ。ゼブラの場合、女性が社員の半数以上を占めており、営業や研究開発を含む多様な部署で活躍している。彼女らの働きやすさをいかに向上させ、女性管理職の比率も向上させていくかが同社の課題の一つだった。そこで同社は、育休中の女性社員がスムーズに復帰できる環境づくりに取り組み始めた。

ゼブラで育児休暇を取得する社員がiPadを使う様子(出典:ゼブラ)

 ゼブラの池田智雄氏(広報室 室長)は「女性社員の場合、産休や育休で長期間現場を離れると、その間に社内の制度が変わったり、人事異動があったり、新商品がリリースされたりといった会社の変化を把握する機会がどうしても減ってしまいます」と話す。

 実際に同社でiPad貸出制度が導入される前に育休から復帰した経験を持つ生川 麻友子氏(広報室所属)も「周囲でもよく言われていますが、私は復帰後に職場の変化から取り残されてしまう『浦島太郎状態』になってしまうのではないかという不安を感じていました。同期に個人的に連絡を取ったり、課長にメールで状況を聞いたりして、自分から情報を取りに行っていましたが、やはり不安はありました」と振り返る。

 そうした不安を解消する策として同社が始めたのが、育児休暇を取得する社員にiPadを貸し出し、Garoonの掲示板を閲覧できるようにする取り組みだ。もちろん、育休取得中の社員はあくまで「休職中」であることから、iPadのメッセージ機能をはじめとする他の機能は使えないように制御し、本人の意思で必要なときにGaroonの掲示板で、組織変更や人事異動の情報、福利厚生や就業規則などの社内制度の変更、新商品の発売情報などを閲覧できる仕組みにした。

ゼブラで育児休業中の社員が閲覧できる掲示板(出典:ゼブラ)

 同社の広報室には実際に、現在育休を取得しつつiPadを使っている社員がいるという

 生川氏は「小さい子はどうしても手が掛かるので、しょっちゅう社内の情報を閲覧できるわけではありません。それでも(育休取得中の)同僚は『週に2〜3回、組織のことや商品のこと、業界の情報を知る機会を持てて助かる』と言っています。特に2020年は、COVID-19感染予防のための社内対策情報が掲示板で共有されています。それをリアルタイムに見られるので、『復帰したとき、自分がどのように働いていくかをイメージしやすい』というメリットもあるようです」と話す。

ゼブラの生川 麻友子氏(広報室所属)

 池田氏も「育児休業を取る社員の多くがiPad貸し出しを希望し、実際に使っているため、制度としてある程度成功したと思っています」と語る。

在宅勤務のトライアルを開始し、場所にとらわれない柔軟な働き方を整備

 iPad貸し出しと並行して進むもう一つの取り組みが、一部の部署を対象とした在宅勤務のトライアルだ。これも、女性社員を中心に働きやすさを高める動きの一環としてスタートした。

 「育休を取得した社員のほぼ100%が復帰しますが、その後はどうしても時短勤務になることが多くありました。そこで、在宅でも仕事ができる環境が整えば、それぞれのパフォーマンスを発揮できるのではないかと考え、2019年10月からトライアルを開始しました」(池田氏)

ゼブラの池田智雄氏(広報室 室長)

 在宅勤務トライアルの背景には、もう一つの要因もあった。ゼブラの本社は東京の神楽坂にある。最寄りの中央線沿線には国立競技場があるため、2020年夏には近隣に人が集中し、通勤が困難になるのではないかという懸念があった。

 在宅勤務のための環境整備に当たった同社の大川秀夫氏(情報システム部 部長)は、「家から会社のIT環境に接続するにはどのような仕組みがあればいいかを検討し、VPNを整備しました。また、社用端末を社外に持ち出す場合のセキュリティを強化し、万一の場合にも備えました」と話す。

 企画部門などの在宅勤務を導入しやすい部署に限り、全体で50人程度を対象にしたトライアルはスムーズに実施できたという。

 時短勤務で働いていた生川氏も、在宅勤務のトライアルを体験した。

 「広報という業務のうち、集中してニュースリリースを作成するといった作業は在宅勤務と相性が良いと感じています。テレワークならばフルタイムで働ける上に、1時間程度かかっていた通勤時間がなくなったため、仕事の面でもプライベート面でも良いと思います」(生川氏)

事前の準備が功を奏し、全社的な在宅勤務導入もスムーズに実施

 トライアルの成果を見極めた上でゼブラが本格的な在宅勤務の展開を検討しようと考えていたところ、国内でCOVID-19が拡大した。緊急事態宣言の発令が現実味を帯びる中、同社は本社の全社員を対象にした在宅勤務を検討せざるを得ない状況を迎えた。

 だが、それ以前から一部の部署でトライアルを進めてきたゼブラにとっては、社内の在宅勤務の規模を拡大することはそれほど困難ではなかった。

 「トライアルを進めたことで、在宅勤務を念頭に置いた社用PCのセキュリティ設定は全て事前に済ませていましたし、VPNアカウントも用意していました。いわゆるゼロからのスタートではなかったため、それほど大変ではありませんでした」と大川氏は振り返る。

ゼブラの大川秀夫氏(情報システム部 部長)

 強いて挙げれば、社内でデスクトップPCを利用していた社員をどう救うかという課題があった。だが、トライアル期間であれば無料で使えるリモートデスクトップ(RDP)サービスを活用することで、スピーディーかつほとんどコストをかけずに解決できたという。

 実は、ゼブラはテレワークのトライアルと並行して、オンプレミスに構築していた業務システムをクラウドに移行する作業を進めていた。クラウドとの回線接続が確認できたタイミングは、まさに2020年3月上旬、COVID-19の影響が本格化する直前だったという。そのため、在宅勤務を全社に拡大した後も社員が業務システムを使える環境を提供できた。

 大川氏は「たまたま、事前の準備がタイミングよく終わっていました」と話す。もちろん、在宅勤務に必要なIT環境を事前に詳しく見極めつつ必要な設定を進め、さらに「会社と同じことが家でできるんだから、便利でしょ?」と、在宅勤務に対する社内の理解を広げてきた蓄積が生きた点は言うまでもない。

オンラインとオフライン、それぞれの特性を生かして情報を共有し、業務を遂行

 緊急事態宣言の解除後も、ゼブラでは約400人の社員が状況に合わせて在宅勤務をしている。サイボウズのグループウェアを活用したオンラインでのコミュニケーションに加えてWeb会議ツールによるオンライン会議を実施。どうしても込み入った話や細かなニュアンスの確認が必要な場合は出社日を調整してオフラインでの会議を組み合わせ、業務を回している。

 「情報システム部門は在宅勤務中もWeb会議ツールのチャット機能を活用しており、時間を選ばずに相手に情報を伝えられるのでむしろ以前よりもコミュニケーションが取れているという声もあります。

 また、その日起こった出来事や引き継ぎ事項は全てGaroonの『スペース』に日ごとに書き込み、部内で共有しています。社長も日々考えていることなどを気軽にスペースに投稿していました。在宅勤務中は、オンラインでの情報共有ニーズが急に高まりましたが、普段利用していたGaroonでそういう場所を簡単に作れたのは良かったと思います。グループウェアの使い方は、平常時でも在宅勤務時でも基本的に変わりません。そのため、今まで通りのやり方で使えました」(大川氏)

情報システム部門の在宅勤務連絡帳(出典:ゼブラ)

 以前は研究開発部門にいたという生川氏も、Garoonのスペースを活用して新製品の開発に向けた実験情報を共有していたと振り返る。

 「非常に仕事をしやすいIT環境を早々に設定してもらったので、スムーズに在宅勤務できていると思います。後は仕事の内容によって、在宅だけではできない部分をどう工夫するかです」(池田氏)

 生川氏も「テレワークになってから、まだ試行錯誤は続いています。例えば『頭を使う仕事は在宅で集中して進める』『研究開発のための器具や設備が必要で、手を動かさなければいけないところは会社に出てきてやる』という具合にうまく使い分けて、今までの研究開発の流れや考えをちょっと変えれば、これからの新しい働き方のカギになるのではないかと思います」と話す。

社員のポテンシャルをフルに引き出し、今後もより良い商品作りを推進

 一連の仕組みづくりについて大川氏は、「セキュリティ上守らなければならないところは守るのが大前提ですが、ITを使えば業務はどんどん便利になります。社員の皆にとって便利で喜んでもらえる環境を作るため、皆が納得できるように信頼関係を築くことを心掛けながら進めてきました」と語る。

 大川氏の整備したIT環境で在宅勤務を進める生川氏も「1年前は、週に5日間神楽坂のオフィスに来て働くのが当たり前だと思っていましたが、実際に在宅勤務を始めて『あ、こういう働き方もあるんだ』と気付かされました。必要な環境を整備していただいた大川をはじめとするIT部門の方々には本当に感謝しています」と話す。

 ゼブラは今後も、日頃の社員同士のコミュニケーションを通じて必要な改善点を共有し、デジタル化を進めていく考えだ。

 「当社が手掛ける筆記具は昔からある商品ですが、日々進化しています。その中でやはり良い商品作りのキーになるのは『社員がどれだけ能力を発揮できるか』ということです。情報共有ツールを駆使して、いつでもどこでも働ける環境を整えることで、これからもより良い商品を作り、お客さまに届けていきたいと思っています」(池田氏)

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