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» 2019年04月01日 10時00分 公開

情シスの相棒は総務だった!? 会社を救う最強タッグ(6):グループウェア刷新のために、全社プロジェクトを「2度」立ち上げた会社の話

業務システムを導入するときは、現場の人間を巻き込むこと――。至極当たり前の話かもしれないが、これが意外と難しく、プロジェクト失敗の遠因になることもしばしばだ。そんな中、グループウェアの刷新のために全社横断プロジェクトを「2回」も立ち上げた会社があるという。

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シリーズ:情シスの相棒は総務だった!? 会社を救う最強タッグ

 ITのコモディティ化により、情報システム部門に求められる役割が、ビジネスへの貢献や社員の業務改善といった方向へとシフトしています。このシリーズでは、情シスと現場、特に全社とのつながりを持つ総務とがタッグを組むことで、会社を変えるだけの力が生まれる――そんな事例を紹介していきます。

 昨今では「RPA」などがその代表だが、業務に密接に関わるものであればあるほど、システムの導入時には、業務部門との協力体制が不可欠だ。要件の洗い出しからテスト、運用まで連携すべきポイントは多岐にわたる。

 しかし、業務部門からすれば、システム導入への協力は“本業”ではない。時として大きな負担がかかることもあるため、「なるべくなら手伝いたくない」と思う人がいても無理はない。そんな状況でも、どのように現場を巻き込んでいくかが情シスの腕の見せ所といえるだろう。

 駅やビル、学校や病院など、さまざまな建築物に使われる「ケーブルラック(送電用・通信用ケーブル類の配線ルートを確保・整理するラック)」の大手メーカー「ネグロス電工」では、グループウェア刷新のために、社員総勢100人を巻き込んだテストを約3カ月行い、導入時、そして導入後にさらなる活用を促すために全社横断のプロジェクトを組んだという。

スクラッチ開発のグループウェアを「13年」使い続けていた

photo ネグロス電工 取締役 総務部長 小森功雄さん

 ネグロス電工がグループウェアの刷新を考え始めたのは2016年のこと。それまでは、社内で開発したシステムを長い間使い続けていたという。

 「もともと安いパッケージソフトを使っていたのですが、社員の要望に応えようとする中で、スクラッチ開発で作り直し、それを13年ほど使っていました。しかし、外部からアクセスしたいという要望が増えたほか、メンテナンスコストが高くなってきたこともあり、クラウド形式のソリューションを検討し始めたのです」(同社 取締役 総務部長 小森功雄さん)

 当時使っていたシステムの問題点を洗い出し、いよいよ製品選定を始めようという時に、基幹系システムの改修プロジェクトが始まり、グループウェアの導入プロジェクトは一度中断となった。その後、2017年に再びプロジェクトが始まった際は、社内の各部署から人を集めたプロジェクトチームを立ち上げた。その理由について、情報システム部 システム二課 課長の平野信泉さんは次のように話す。

 「情報システム部でプロジェクトを進めると、やはりユーザーの考え方や思いが伝わりにくくなってしまうと考え、各本部から人を集めてプロジェクトという体制を組み、ヒアリングから製品選定まで関わってもらいました。集まった12人で多数決を行うなど、製品決定に対する影響力は大きかったと思います。全社横断ということで、プロジェクトのリーダーには総務部長の小森についてもらいました」(平野さん)

 同社は3社のグループウェアを検討。夏に2カ月ほどかけて、3社全ての製品を社員に使ってもらったという。12人のプロジェクトメンバーが各部に持ち帰り、全社員約1200人のうち、総勢100人ほどがテストに参加した。さまざまなシーンを想定し、現状使っているシステムと新システムの両方を同時に使い、比較してもらったそうだ。

photo ネグロス電工 情報システム部 システム二課 課長の平野信泉さん

 本社の事務から営業、製造など部署が多岐にわたることもあり、部署によってグループウェアの使い方はさまざまだった。とある部署では、日々活用されている機能が、別の部署ではほぼ使われていない――というケースも珍しくはない。プロジェクトでは、さまざまな意見が飛び交い、なかなか話がまとまらなかったそうだ。実際に、多数決では決まらず、長い議論を経てようやく導入する製品が決まったという。

 各機能を精査し、同社が選んだのはサイボウズのグループウェア「Garoon(ガルーン)」だった。UIや操作性などのほかに、既存のシステムに近い機能を備えていたことが、選定の決め手になった。

 「例えば掲示板の機能。Garoonは誰かが書き込みをした後でも、また違うユーザーが書き込める仕様でした。双方向でやりとりできることが私たちの使い方に合っていたのです。急に仕様や機能が大きく変わると、ユーザーが混乱してしまいます。そのため、こういった細かいポイントも選定の決め手になりました」(平野さん)

従来の見た目を再現するためにカスタマイズ、ワークフローも再現

photo ネグロス電工 情報システム部 システム二課 主事 加賀美涼子さん

 こうして2017年の秋ごろにGaroonの導入が決まり、本格的な導入への準備が始まった。マスターの制御といったデータ準備のほかに、カスタマイズも入念に行ったという。画面の体裁も、なるべく従来のグループウェアに合わせた。さまざまなカスタマイズは、同じくシステム二課の加賀美さんが1人で行ったそうだ。

 「ポータル画面のカスタマイズのほか、従来のワークフローをGaroonに載せかえるといった作業も行いました。JavaScriptでボタンを制御するといった作業もありましたが、簡単だったので、特に苦労するポイントはありませんでした」(同社 情報システム部 システム二課 主事 加賀美涼子さん)

 加賀美さんはもともと、情報システム部の別部署で基幹系システムを中心とした開発を10年くらい行っていたエンジニアだった。6年前にシステム二課に異動になり、インフラの運用やヘルプデスク業務を行っていた。同じ開発業務ではあるが、設計や要件定義を重視する基幹系の開発と情報系システムの開発は“毛色”が大きく異なる。現場のニーズを知るべく、さまざまな人に要望を聞いて回ったという。

 「グループウェアに強い関心を持っている人が各部署におり、機能や画面を作り上げるたびにテストをお願いしていました。彼らのフィードバックを受けてまた作り直すというサイクルです。基幹系システムの開発をしていたころと比べて、いろいろな人の意見や考えを聞けるのが、今はとても楽しいです。もちろん、その分忙しくなってもいるのですが……(笑)」(加賀美さん)

 加賀美さんの尽力もあり、2018年2月にクラウド版Garoonの利用をスタート。しかし、こうした情報系システムは導入したら終わりというわけではない。ユーザーがメリットを享受できるようになることが本当の目的だ。導入から約4カ月後、ネグロス電工では、Garoonをより活用し、業務効率化を進めるための新たなプロジェクトが始まった。

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グループウェアを使いこなすための「全社プロジェクト」

 新たなプロジェクトも全社から人を集めたが、実際に運用する人を集めようと、導入時のプロジェクトと比べ、より現場に近く若い社員を集めた。参加者の平均年齢は「10歳くらい若返った」(平野さん)という。参加者を通じて各部門にアンケートを行い、Garoon活用の問題点をヒアリング。その結果、3つのグループが立ち上がった。

 まずは「社内コミュニティーの立ち上げ」だ。ポータル上に社内の情報発信を行うページを作成するというのもので、2019年の1月にページが立ち上がった。そこでは各事務所や社員の紹介、社内イベントの情報などがまとめられている。HTMLを使ったカスタマイズをしていることもあり、ページの更新を行うのは、基本的には加賀美さんだという。

photo ポータル内に社内の情報発信を行うページを作成。社員やクラブ活動の紹介などを行っている

 「弊社は1200人ほど社員がいますが、『うちの会社にどういうクラブ活動があって、どういう活動をしているのか』というのをおそらく社員全員は知らないんですよ。人の名前を知っていても、顔が一致しないとか。営業所も全国にたくさんありますし、場所が離れているとなかなかつながりも作りにくいので、もっと社内のこと、会社のことを知ってもらいたいですね。メインのターゲットは3年目から5年目の社員です」(平野さん)

 2つ目のグループは「Garoonヘルプサイトの作成」だ。ヘルプサイトと言っても、単に機能や使い方を説明するものではない。想定シーン別により詳しい活用方法を解説したり、既存システムからの移行で戸惑っている人たちに向けた使い方を解説したりするものだ。

 「例えば『メッセージを転送したい』といったピンポイントなシーンが対象になります。Garoonのメッセージには転送機能はないので、1回テキストに出力して、新規メッセージに貼りつける――といったようなテクニックを載せています。これまでは皆、社内のやりとりも全てメールで行っていたので。スクラッチ開発で作っていたころのシステムの感覚で使いたい人が、困ってしまう場面が少なくないんです」(加賀美さん)

photo 作成中の「Garoonのヘルプサイト」。既存システムからの移行で戸惑っている人たちに向けて、使い方を解説している

 最後は、ワークフロー機能の活用をより推進するグループだ。これまで運用されてきた各種申請書をワークフロー化するため、各部署の社員とコミュニケーションを取っているところだという。各グループで徐々に成果が挙がっており、2019年7月までをめどに活動を続けるそうだ。

Garoon導入で「社員の距離が縮まった」 プロジェクトは「委員会」へと進化

 これらのプロジェクトのおかげもあり、社内ではGaroonの活用が大きく進んだという。ワークフローのレスポンスが早くなり、業務効率化も進んだというが、「社員同士の距離が縮まった」というのも大きな効果だと同社は見ている。

 「以前のグループウェアは、自分の予定を入れて表示するだけだったため、他人の予定を押さえるにはメールや電話で聞くしかありませんでした。今では、他人の予定を気軽に押さえられますし、『メッセージで送りますので』とか『ちょっとスペース立てますね』といった会話が日常的に聞こえてくるようにもなりました。やはり、人と人とのつながりは多くなったように思いますね」(平野さん)

 「われわれは古い世代なので、会社の良さが身にしみついていますが、若い人たちも含めて、さまざまな情報が共有されることで、『うちの会社っていいんだな』と思ってくれる人が増えれば、仕事にもいい影響が出てくると考えています。そういう意味で、こういった活動は好ましいですし、応援しています」(小森さん)

 全社横断で行っている運用プロジェクトについても、いったんは解散する予定だが、その後は、期限を設けない「委員会」という体制で続けていくことを検討しているという。Garoonのカスタマイズについても、4月からは専任を増やす予定とのことだ。

 こうした取り組みによって、これまでグループウェアの維持管理にかけていた時間を、現在はGaroonの運用に向けたカスタマイズに当てられるようになった。トータルの業務量に変化はないものの、ネグロス電工の社内コミュニケーションが、確実に1歩前へと進んだのは言うまでもない。社員をしっかりと巻き込むことで、システムは会社の“文化”にもなり得る。グループウェア導入の成功事例として、同社から学べるところは多いはずだ。

 「今のところ、カスタマイズで作り込んでいるのはポータルだけなので、メリットの方が大きいと考えています。Garoonをきっかけに社員同士がつながり、コミュニケーションが広がっていく、そんな場所にしたいですね」(平野さん)

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2019年9月2日