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» 2018年07月30日 10時00分 公開

情シスの相棒は総務だった!? 会社を救う最強タッグ(1):「趣味は業務改善」が高じて、「情シス」になってしまった男

もともとプリセールスのエンジニアだったが、自社のグループウェアを使いやすくしたいと思い、改善しているうちに情シスになってしまった――そんな男がサイボウズにいる。彼の仕事ぶりを聞くと、これから求められる情シスの在り方が浮かび上がってきた。

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 自社でシステムを構築しなくても、既存のサービスを組み合わせて使えばいい――。今、クラウドの普及によって、企業ITの世界は大きく変わりつつある。普段から情報システムを扱っている人間でなくともITが扱えるようになったことで、極端な話、やる気と時間さえあれば、誰でもビジネスや業務を変えられるようになったのだ。

 こうなると、IT活用の主役は「情報システム部門」だけではなくなる。業務部門やバックオフィス、エンジニアなどが旗振り役となり、業務改革を進める例も少なくない。

 クラウドベースのグループウェアなどを手掛ける「サイボウズ」もそんな一社だ。同社の業務改革を支えるのは「趣味が業務改善」という情シスと、人事に所属しているエンジニア出身の社員。彼らが進めたバックオフィスの効率化の舞台裏を紹介する。

「趣味は業務改善」が高じて、「情シス」になってしまった男

photo サイボウズ 運用本部 情報システム部 渡辺拓さん

 現在、入社5年目の渡辺拓さんは、もともとプリセールスのシステムエンジニアとして働いていた。しかし、その仕事の傍ら、入社2年目のころから、独自にグループウェア「Garoon(ガルーン)」のアドオンツールを自作し、社内に配布していたそうだ。

 「オフィスが移転した直後だったこともあったんですが、みんな会議室の名前と場所が一致しなかったんですよね。その他にも『今から会議を開きたいけれど、空いている場所はあるのか』など、移転したオフィスに合わせた形で、もっと便利になったらいいと思うポイントがあったので、周りの人にヒアリングしながら、アドオンツールのような形で会議室予約の追加機能を公開しました」(渡辺さん)


photo 渡辺さんは、自作のアドオンツールをGaroon上で告知してきた。ユーザーニーズを捉え、軽いノリで紹介していたこともあり、とても好評だったという

 この会議室予約支援ツールは、社内でも大人気に。これに気をよくした渡辺さんは、営業支援ツールなど、さまざまなツールを作り続け、Garoonのカスタマイズにのめり込んだ。しかし、「本業」でなかったことから、業務時間外だけでは進めにくいプロジェクトもあったという。

 そんな渡辺さんに転機が訪れたのは3年目。上司とキャリアについて面談を行ったときだった。自分が手掛けてきた業務改善活動について話したところ、情報システム部に異動することになったのだ。ヒアリングも堂々と行えるようになり、やりとりをする部署も大きく増えた。以来、社内システム改善専門の情シスとして、さまざまな社員からの依頼を受けているそうだ。

バックオフィス業務の効率化プロジェクトを任された「人事」

photo サイボウズ 事業支援本部 人事採用担当 新卒採用チーム リーダー 庭屋一浩さん

 情シスとは異なる立場で、ITによる業務改善を行っている社員もいる。人事として新卒採用を担当している庭屋一浩さんもその1人だ。渡辺さんと同じく、新卒でエンジニアに配属されたものの、技術よりも人間に興味を持ったのだという。

 「同期や後輩と比べて、エンジニアとして興味を持つところが違う……というか技術寄りの話にそこまで興味がないんだなと分かりまして(笑)。サイボウズで仕事をしているうちに、人に対する考え方が面白いと思い始めたので、3年目に行われた面談で人事部を希望したら、本当に人事部に行くことになりました」(庭屋さん)

 こうして、晴れて人事総務に異動になった庭屋さん。新卒採用チームのメンバーとして働いていたが、元エンジニアという経験を買われ、法務や経理なども含めたバックオフィス業務全体を効率化するプロジェクトのリーダーに抜てきされた。

 「社員数がどんどん増えて、それと同時に業務も増えているので、バックオフィス業務の効率化が総務全体の課題になっていました。自分1人の仕事を改善するのはそんなに難しくないのですが、バックオフィス全体となると話が違います。

 メンバーに話を聞くと、Excelなどで結構面倒な作業を行っていることが分かったのですが、同時にそれをどう改善すればいいか見当がついていないことも見えてきました。システムに強くない人も少なくないので、自分の作業がITで改善できることだと気付けないようでした」(庭屋さん)

「この業務、めんどくさい!」と言える環境を作ることが大切

 まずは、業務効率化の意識付けをすることが重要――そう考えた庭屋さんたちは、この業務効率化プロジェクトを「めんどくさいことをやめてシステムに任せるプロジェクト(通称:MYSP)」と名付け、面倒な業務を募集したり、アイデアソン(アイデアを集めるワークショップ)を行ったりして、課題の洗い出しを行った。

 システム化による業務効率化を説明しつつ、課題を洗い出していく作業はバックオフィス業務に苦しんでいたメンバーにとって効果的だったという。同社の人事部で働く浅賀佑子さんはこう話す。

photo サイボウズ 事業支援本部 人事部 総務・労務グループ 浅賀佑子さん

 「私自身もMYSPのメンバーでしたが、システムに弱く、アイデアソンという言葉も聞きなれないような状態でした。実際にアイデアソンをやってみると、何年も受け継いできた“伝統のExcel”を不便と感じながらも使い続けているような人が多かったですね。そんな業務に耐えている、というか耐えているという意識がないくらいに『まひ』している感じなので、そういう方たちにも意見を出してもらえるよう、“業務量”と“イライラ度”といった言葉を使って課題を出していきました。

 サイボウズでは、情報共有が活発に行われているので、ある程度は誰が何をやっているか分かるのですが、さすがに『Excelのこのセルに入力している』というレベルでの細かな業務までは分かりませんでした。普段黙々と業務をこなしている人たちから、意見がポンポンと出てきたのにはびっくりしました」(浅賀さん)

photo アイデアソンの様子。“業務量”と“イライラ度”という2軸で整理し、業務課題を出していった

 出てきた業務改善のアイデアを形にするのは、業務改善情シスである渡辺さんの仕事だ。情シスに転属した当初はあまり仕事がなかったものの、このプロジェクトを通じて、次々と依頼が舞い込んでくるようになったという。業務に寄り添った最適化を目指す渡辺さんだが、MYSPが始まったばかりの頃は、総務付近に3カ月ほど席を作っていたこともあるそうだ。

 「システムを作っている期間中は、週に何回も足を運んで作業を教えてもらったり、実際にやらせてもらったりしました。実際にやってみると地味でつらい作業が多く、頭が上がらないなと思いました。これを平気な顔して耐えている人がいるわけで、しかもこの状況を情シスが把握できていない。これは大きな問題だと思いました」(渡辺さん)

 庭屋さんも含め、業務課題をシステムの問題として捉えられる人が増えてきたことで、プロジェクトがうまく進んだのだろう。今後は業務改善意識が全社に広がってほしいと考えているそうだ。

 「私たちはシステムという“共通言語”が持てないので、エンジニアや情シスなどの人たちにどうお願いしていいかも分かりませんでした。それを言語化して拾ってくれる人がいるのはありがたいですね。今では、みんなの意識が変わり『めんどくさいことはめんどくさいって言えるんだ』というような雰囲気が醸成されました。こうなれば、後は各自が動いてくれる。この部分については、本当に変わったなと思います」(浅賀さん)

会社の全体最適から、現場業務の最適化へ――新しい情シスの姿

 バックオフィスのメンバーの雰囲気が変わったことで、渡辺さんの仕事も大きく変わった。当初は「人事総務の業務改善」というようなスコープの大きなミッションが多かったが、今は一人一人の個別業務の改善が主な業務になってきているという。

 もちろん、その解決策はシステムを作るだけではない。業務フローを整理し、無駄な業務そのものを止めるように提案することもあれば、作ったシステムをより活用できるようにアドバイスすることもある。

 「プロジェクトが始まった頃は、自分が作ったシステムを使ってもらうだけ、ということが多かったのですが、今では、Excelでやっていた業務をGaroonやkintoneで置き換えることを勧めたり、『このシステムをこうしたら自分たちでも改善できる』とバックオフィスのメンバーにアドバイスしたりすることも多いですね」と渡辺さん。自分一人ではもはや追い付かないほど、依頼が殺到しているとのことで、今後も総務のメンバーが自分でできることを増やしていく考えだ。

 「庭屋や渡辺からもいろいろ教えてもらって、自社のシステムを全然使いこなせていなかったことが分かりました。こんなに変わるんだ、と正直驚きましたね」(浅賀さん)

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 業務改善を通じ、社員の悩みごとを次々と解決していく――。サーバやネットワークといったITインフラの整備をしているわけではないが、ITを使い、業務を変えることで全社のレベルアップに貢献している。従来型の情シスももちろん必要だが、渡辺さんのような動きもまた、社員から必要とされる、新たな情シスの姿なのだろう。そんな渡辺さんに最近、ひょんなことから新しい“仲間”が増えたのだという。

 「サイボウズには、期間を区切って他部署の業務を体験できる『大人の体験入部』という制度があるのですが、最近情報システム部の業務に興味を持ってくれた総務部のメンバーがいるんです。総務の業務改善をするに当たって『システム感覚を身に付けたい』と言ってくれて。週1くらいのペースで、かれこれ1カ月以上体験入部が続いています。

 業務の困りごとを話し合いながら一緒に解決する中で、もし簡単なプログラムでできそうなところは、体験入部の題材として、実際に作ってもらうことも考えています。それができたら、総務部の中で“システムに詳しい人”になってもらって、自らいろいろな業務を変えていってもらえればと思っています」(渡辺さん)

 従来の情シスとは異なる立場でIT活用を行い、業務を変えてきた渡辺さん。そして、バックオフィスを支える立場から、業務効率化の機運を作り出してきた庭屋さん。これからの情シスには、こういったアプローチの重要度が増していくだろう。

 「今の仕事もあるし、そんな時間はない」と感じる人もいるかもしれない。しかし、その全てを情シスが背負うことはない。どの部署にもITのセンスがある人や、業務を効率化したいと願う人はいるはずで、彼らは情シスの力を求めている。特に総務は、定型業務や事務作業が多い上、全社とつながりを持つ唯一の部署だ。総務と情シス、両者がタッグを組むことで、会社を変えるだけの力が生まれる――彼らの事例には、そんなヒントが詰まっているように感じられる。

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提供:サイボウズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2018年8月29日

特集:頼られ情シスへの道

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