2021年は「デジタルバンク元年」 FFGのDX仕掛人が語る新しい銀行の将来像【特集】2021年、DXのビジョンは

「DX注目企業2020」にも選出されたFFGは、デジタルを活用した先進的な取り組みでこれまでの銀行の在り方に大きな変革をもたらすだろう。同グループのDX推進事業の要ともいえる、みんなの銀行プロジェクトの推進者が目指す、これからの銀行とは。

» 2021年01月06日 07時00分 公開
[齋藤 公二ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 ふくおかフィナンシャルグループ(以下、FFG)は、「みんなの銀行」プロジェクトや経営支援サービス「BIZLINKS」などの取り組みが評価されて「DX注目企業2020」に選出された。

 同社のビジネス開発部部長兼みんなの銀行 取締役副頭取の永吉健一氏に、2020年のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の振り返りと、DX推進における注目事業であるみんなの銀行プロジェクトの詳細を聞いた。

新しいジャンルの銀行「デジタルバンク」を世の中に出していく

――2019年8月にみんなの銀行設立準備会社を設立し、2020年には予備審査を経て、営業免許を申請しました。2020年12月22日に銀行業の営業免許を取得して、いよいよ営業がスタートしますが、まずは2020年を振り返ってどのような1年でしたか?

FFG 永吉健一氏

永吉健一氏(以下、永吉氏): 2015年頃に「Fintech」という言葉が登場してバズワードとして広がりました。5年たった現在、DXという言葉が銀行だけでなく、全産業から注目されるキーワードになっています。当社は、その中で「デジタルバンク」という新しいジャンルの銀行を世の中に出していこうとしています。社名からも「設立準備」という言葉がなくなり、みんなの銀行として新たなスタートを切りました。2021年に向けて大きな節目の年になったと思います。

――FFGは「DXの推進」を5つの基本戦略の1つに掲げています。DX推進についてどう捉えているのでしょうか?

 DXは、プロセスや人、戦略など組織に対して大幅な変化を与えるものであり、成長や競争力につながる業績インパクトがあることが重要です。デジタル化できていない企業が、一足飛びにDXを進めようとしてもうまくいきません。そこでFFGでは、ペーパーレス化などアナログなものをデジタル情報にする「デジタイゼーション」とデータを利活用してビジネスや業務全体を効率化する「デジタライゼーション」という2つのステップでDXを進めてきました。

 具体的には、既存事業におけるデジタイゼーションとしてタブレット導入や取引の電子化、業務の本部集中化、RPA、AI-OCRの活用などに取り組みました。デジタライゼーションは、クラウド会計データを活用した融資商品「ファストパス」や地場企業のAI活用を支援する場としての「Open AI Lab」、BIZLINKSなどです。こうした取り組みを経て、デジタルバンクであるみんなの銀行は、DXの新規事業としてスタートしています。

DXを推進するために重要な「2wayアプローチ」とは

――FFGは、既存ビジネスの高度化とデジタルバンクの新設を並進させる「2wayアプローチ」でDXを推進しています。両方を同時に進める意義は何でしょうか?

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ