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» 2021年06月11日 10時30分 公開

第一三共はデータ活用とデータガバナンスをどう実装? 製薬固有の課題とクラウド活用(1/2 ページ)

大手製薬会社の第一三共は主力事業の大転換をきっかけに、データ分析基盤構築を本格化した。将来的にはデータの民主化も想定する。治験データなど配慮が求められるデータを多く扱う製薬会社のクラウド活用はどうなっているか。

[名須川竜太,ITmedia]

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がん治療分野への事業シフトを機に全社データ分析基盤を構築

第一三共 DX企画部DX企画グループ長 上野哲広氏

 「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」を存在意義(パーパス)と定め、「革新的医薬品を継続的に創出し、多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」ことをミッションに医薬品の研究開発、製造、販売をグローバルで手掛ける第一三共。現在はコロナ禍の終息を目指し、海外医薬品メーカーと提携して国内でワクチン製造を手掛ける他、新たなワクチンおよび治療薬の研究開発にも力を注ぐ。

 第一三共は従来、循環器系の疾患を主な創薬対象とし、高血圧薬や血栓を防止する抗凝固剤などを主力事業としてきたが、2016〜2020年の中期経営計画で、がん治療分野に事業の主軸をシフトすることを決定した。この決定をきっかけに「研究開発から製造、販売まで、全てのバリューチェーンで大きなトランスフォーメーションが必要になりました」と同社DX企画部DX企画グループ長の上野哲広氏は説明する。

 「循環器系創薬では低分子化合物の研究開発が主となりますが、がん治療では抗体や遺伝子、細胞などのメカニズムにまで踏み込んだバイオ医薬が対象となり、作る医薬品が大きく異なるのです」(上野氏)

 このがん治療薬への事業転換で経営課題の一つとなったのが、これまで手掛けてこなかったがん領域での高度なデータ分析をどう実現するかという問題だ。そのための「組織」をどう作るか、「ガバナンス」や「ポリシー」をどう確立するかについて、経営レベルで日々、議論が繰り返された。

 製薬会社が扱うデータには、治験情報のようなパーソナルデータや薬事法で管理方法が定められた情報も含まれるため、データ分析基盤を構築する際には、ガバナンスをきかせた設計や運用体制をどう整備するかが問題となる。第一三共は、複数のクラウドサービスを活用してコンプライアンスやデータガバナンスを守れる体制を実現したという。以降で詳細を見ていく。

本稿は2021年5月に開催された「AWS Summit Online 2021」における講演「第一三共の全社データ分析基盤〜データ利活用の促進をめざしてデータレイクを構築〜」を基に再構成している。


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