BNPL市場はどうなる? “脱法”後払いビジネスの闇に米国政府が監視を強化

後払いサービスは手元に資金がなくてもチャンスを逃さず買い物ができる便利なサービスとして普及しつつある。市場が盛り上がり、さまざまなプレーヤーが参入する中、このサービスのスキームそのものに「脱法」疑惑が持ち上がっている。

» 2022年02月17日 08時00分 公開

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 米消費者金融保護局(CFPB:Consumer Financial Protection Bureau)は2021年12月、大手のBNPLプロバイダーに情報提供を求める要請を発した。人気のある融資サービスを利用する消費者は購入データがマーケティングに利用されるため、「沼」化しやすく、結果的に多額の債務をため込む可能性があることが懸念されている。

 発令を伝えたプレスリリースで、連邦政府機関はBNPL(後払い決済)プロバイダー「PayPal」「Affirm」「Afterpay」「Klarna」「Zip」の各企業から「急速に拡大しているローンのリスクとメリット」に関する情報を求めると述べた。

 デジタル決済の大手PayPalとBNPLプロバイダーのAffirmは米国に拠点を置く。Klarnaはスウェーデンに、Zipはオーストラリアに本社を置く。Afterpayのビジネスはオーストラリアで成長したが、2021年8月に米国のデジタル決済会社Square(現Block)によって290億ドルで買収された。

簡単に買えて簡単にブラックリスト行きも 監督機関の指摘にも事業者らは平気な顔

 一部の加盟店が提供する「BNPL融資」オプションを使えば、消費者は化粧品から電子機器までの全てを通常は利息なしの分割支払いで購入できる。BNPL融資は特に一括払いの現金がない若い買い物客に人気だ。この仕組みの落とし穴は、支払いを遅延させてしまった買い手が請求料金に驚くか、ブラックリスト入りしてしまい、与信の信用報告書にうんざりするかもしれないということだ。

 「BNPLは商品予約購入に現代的なスピード感を加えた新しい形態と言える。消費者はすぐに製品を入手できるが、借金も身近なものになる」とCFPBのディレクター、ロヒト・チョプラ氏はリリースの中で「Affirm、Afterpay、Klarna、PayPalおよびZipに、業界の慣行とリスクについて一般に報告できるように情報提出を命じた」と述べている。

 バイデン政権下で影響力を発揮しようとしている連邦政府機関は「テクノロジーによって急速に変化する消費者信用市場における債務の蓄積、規制裁定取引およびデータ収集」について懸念していると述べた。

 この要請で名指しされた5社は「協調精神をもって」CFPBの命令に応じた。以下でそれぞれの応答を見ていこう。

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