日本企業のDXをどう加速させるか、キンドリルとマイクロソフト戦略的協業の狙いトップに聞く

レガシーシステムの運用管理やIT人材不足などの課題に悩み、DXを思うように推進できない企業は多い。キンドリルとマイクロソフトの協業はこの解決にどう寄与するのか。両社のトップに具体的な支援策を聞いた。

» 2022年06月09日 10時00分 公開
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 米Kyndrylと米Microsoftは2021年11月、グローバルレベルでの戦略的パートナーシップの締結を発表した。「Microsoft Cloud」に構築した最先端ソリューションを市場に投入することでハイブリッドクラウドの採用を加速させ、インフラやプロセスのモダナイズ、ミッションクリティカルなワークロードのサポート、顧客の業務エクスペリエンスの向上などを推進する。

 この協業によって日本市場ではどのような施策が展開されるのか。キンドリルジャパンの上坂貴志氏(代表取締役社長)と、日本マイクロソフトの吉田仁志氏(代表取締役社長)に狙いを聞いた。

「ミッションクリティカルシステムの深い知見」と「クラウドの利点」を組み合わせる

──社会全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。その中で両社の役割と日本企業の課題をどう捉えていますか。

上坂貴志氏 キンドリルジャパン 上坂貴志氏

上坂氏: キンドリルは、2021年9月にIBMから独立し、世界中の企業、政府、公共団体などの複雑かつミッションクリティカルなITシステムのインフラを支えるスタートアップ企業です。世界中で4000社のお客さまを日々ご支援し、「フォーチュン100」企業の75%は当社のお客さまです。世の中に必要不可欠な技術やシステムを日々デザイン、構築、運用し、モダナイズしていく会社として「社会成長の生命線」という企業理念を掲げています。

 日本企業の多くは「2025年の崖」に代表されるレガシーシステムの運用管理やIT人材不足といった課題に直面しています。これはベンダー1社の取り組みで対応できるものではなく、アライアンスパートナーとのエコシステム形成が非常に重要です。統合クラウドベンダーであるマイクロソフトとのグローバルレベルでの戦略的パートナーシップはまさに必要不可欠だと考えます。

吉田氏: コロナ禍を契機に、日本の経済や社会にとってDXが喫緊の課題であることが改めて明らかとなりました。しかしながら、2021年版の「情報通信白書」でレポートされている通り、DXに取り組んでいる国内の企業はわずか13%です。リモートワークやハイブリッドワークなどの取り組みはコロナ禍で加速したとはいえ、日本企業や社会基盤の真のDXを妨げる大きな要因の一つが、老朽化した基幹システムであることは否めません。

 日本マイクロソフトは “Revitalize Japan”という方針の下、日本社会の再活性化のために大企業、中堅・中小企業、公共・文教・医療、個人それぞれにおける変革をパートナーさまと緊密に連携しながら推進しています。特に各業界に根差した業務プロセスの革新や技術を駆使した新しいビジネスモデルの創出などを、キンドリルのような日本のお客さまを熟知したパートナーさまとともに、お客さまに寄り添いながらご支援していきます。

─―DX実践には何が必要だとお考えですか。協業の狙いを教えてください。

上坂氏: DXを支援しますという企業は多いのですが、これからのDX推進にはミッションクリティカルなシステムの知識をどれだけ持っているのかが重要な要素になります。キンドリルは、長年の歴史の中でメインフレームを中心としたミッションクリティカルシステムの構築、運用に関するノウハウを持ち、今後も継続的に取り組んでいくことを示しています。実はこれをうたっている企業は少ないのです。

 クラウドシフトが起きる中でもミッションクリティカルのノウハウは、ますます重要になります。キンドリルが、基幹業務をお預かりするという姿勢や責任感、そのための備えを持ち、マイクロソフトのような統合クラウドベンダーと一緒になってクラウドシフトに臨めることは、お客さまにとって大きな価値と安心感を提供することにつながると考えています。

吉田仁志氏 日本マイクロソフト 吉田仁志氏

吉田氏: イノベーションを推進する上で、クラウドが重要な役割を果たせると考えています。さまざまなシステムやデバイスで生み出されるデータを収集し、AIを使ってインサイトを引き出し、生産性や効率性、効果を上げ、イノベーションを推進するための基盤になるからです。

 従来のシステムはサイロ化されているため、データの整合性を確保したり、システム同士を有機的に連携させたりすることが難しい状況にありました。セキュリティ上の脅威があった場合にも、サイロ化されたオンプレミスのシステムではそれぞれのシステムで問題を特定して対応する必要があります。

 イノベーションを起こす上で、ミッションクリティカルなITシステムにおける経験と知見を基に、しっかりとした基盤をクラウドに構築して運用することが重要なのです。

上坂氏: 吉田社長の考え方に強く共感します。日本企業のDXを加速させるためには、お客さまの既存のITインフラをよく理解した上で、最新技術を用いた「ITインフラストラクチャーの近未来」を描いていくことが重要です。そのために必要なのがクラウド、ハイブリッド環境であり、さらにそれを発展させるための自動化、AI、そしてセキュリティなど技術を用いた「デジタル時代のITインフラ像」です。

 この実現に向けて、マイクロソフトとキンドリルの協業は自然な結論でした。両社がお互いに実績を持つ業界別対応・ソリューションの見識や経験を持ち寄ることで、産業別の最適化されたサービス提供もできるようになると考えています。

Microsoft Cloudで共同ソリューションを展開 キンドリルはお客さまの環境に合ったITインフラサービスを展開

──具体的には、どのような協業体制になるのですか。

上坂氏: 両社は共同で、キンドリルのミッションクリティカルシステムに対する深い知見を基にした最先端のソリューションをMicrosoft Cloud上で開発し、お客さまのビジネス目標に応じて、オンプレミス、マルチクラウド、エッジなどにおけるあらゆるクラウドジャーニーを支援します。

 具体的には、データのモダナイゼーションとガバナンス、働き方改革、AIを活用した各業界向けのイノベーション、サイバーセキュリティとレジリエンシー、レガシープラットフォームからクラウドへの基幹システムの移行などの分野で、エンタープライズソリューションを共同で展開していきます。

 そしてキンドリルは、これらの複雑なハイブリッドIT環境に対するアドバイザリー、導入、マネージドサービスを提供することでお客さまをご支援します。既にこれらの取り組みは日本独自でも始まっており、先日「Microsoft Azure」向けの「クラウド支援サービス(シルバーサービスおよびブロンズサービス)」を発表しました。これは、クラウドやITインフラに関する豊富な知見を蓄積したナレッジベースを活用した日本語によるサービス提供および運用作業支援を行います。

 これらは、キンドリルが長期にわたり日本のお客さまの複雑かつミッションクリティカルなITインフラを設計、構築、管理、モダナイズしてきた経験や、企業のハイブリッド/マルチクラウドを支援してきた豊富な知見やスキルに基づくもので、ハイブリッド/マルチクラウドへのスムーズな移行やお客さまのシステム品質の高度化をご支援します。

──協業で最も重視されているテーマは何ですか。

吉田氏: 日本全体の変革を実現するためには、業界全体をつないで活性化していく必要があります。マイクロソフトは各産業におけるインダストリークラウドを推進し、そこから成功事例づくり、業界全体のDX推進と活性化につなげていきたいと考えています。

 マイクロソフトのインダストリークラウドと、キンドリルの持つ各産業における豊富な経験により業種ごとのDXを支援し、その波を産業界全体に広げていくことができると期待しています。

上坂氏: キンドリルが重視するのは、長期的なパートナーシップを結び、マネージドインフラサービス市場におけるマイクロソフトの技術を継続的に拡大していくことです。金融などキンドリルが豊富な実績を持つ業種・業界だけではなく、行政や教育などマイクロソフトが得意とする領域の知見を組み合わせることで、幅広いお客さまの課題を明確にし、共同でソリューションを提案します。

「共同イノベーションラボ」を展開 教育プログラム「Kyndryl University for Microsoft」も新設

──DXは技術だけでは推進できません。特に日本企業では人材不足が大きな課題です。この点をどうサポートしていきますか。

吉田氏: 日本マイクロソフトは、IT人材不足の解決に向けて2020年からデジタルスキルの習得支援施策「グローバルスキルイニシアチブジャパン」を開始しています。企業やNPO、政府、自治体と連携して2022年末までに20万人の人材育成を目指しています。特に、キンドリルのようなお客さまに最も近い立場にいるパートナーのクラウドスキル構築を支援することが重要と考えています。

上坂氏: キンドリルはマイクロソフトとともに「共同イノベーションラボ(Microsoft Joint Innovation Lab:MJIL)」の展開を準備中です。共同イノベーションラボでは、両社のスタッフがお客さまにお使いいただける新しい機能やケイバビリティをMicrosoft Cloud上で迅速に開発していきます。導入前の技術をプレテストとして体験することも可能です。実際に技術を活用する人材の育成という面でも、お客さまにとって価値ある取り組みになると思います。

──技術の進化が速い今、人材育成はベンダー側にとっても重要な課題ですよね。

上坂氏: おっしゃる通りです。キンドリルはマイクロソフトのパートナーとして既にグローバルレベルで「Azure Expert MSP」を取得しています。これはマイクロソフトのパートナー3万社の上位0.2%に入るそうです。また、16個のゴールドパートナーコンピテンシーと、Kubernetes、SAP、アナリティクスにおける3つのアドバンスドスペシャリゼーションズも取得しており、1万1000以上の認定資格を保有しています。この動きをさらに加速するため「Kyndryl University for Microsoft」が設立されました。今後も両社における人材育成を加速させ、お客さまと社会に貢献していきます。

 共同イノベーションラボは、企業が新しいソリューション開発を迅速に行い、スムーズにMicrosoft Cloud上に展開できるよう、キンドリルとマイクロソフトが共同で行う取り組みだ。

 クラウドソリューション開発の共同支援に加えて、顧客企業の環境に合わせたソリューションの検証なども実施する予定だ。人材育成のためのプログラムでもあり、マイクロソフト製品・サービスに関する知識やスキルのトレーニングも行う。

 顧客企業向けだけではなく両社間でスキル継承を行う点も特徴的で、キンドリル向けには「Kyndryl University for Microsoft」を提供する。キンドリルの9万人に及ぶエンジニアや専門家がマイクロソフト製品のスキルを素早く習得できるよう支援する。

DX推進はミッションクリティカルなインフラ運用を熟知したキンドリルが必要

──最後に改めて両社ならではの提供価値を踏まえ、今回の戦略的協業が日本企業のDXをどう加速させるか教えていただけますか。

吉田氏: マイクロソフトは、まずは自社がDXに取り組み、ビジネスモデルを大きく転換しました。その経験を基にビジネスを包括的に支援するサービスとして構成したものがMicrosoft Cloudです。

 Microsoft CloudはAzureだけではなく、「Microsoft 365」「Dynamics 365」といった、お客さまのビジネスのファウンデーションとなるサービス群で構成されています。Microsoft Cloudでは、例えば「Teams」や「Outlook」などのコミュニケーションツールからDynamics上のデータを参照するなど、従来のサイロ化したシステムではできなかった課題が解決されています。

 日本のDXを推進していくためには、レガシーなシステムをクラウドで再構成し、新しい価値を生み出すための基盤に進化させる必要があります。ミッションクリティカルなITインフラを熟知したキンドリルと組むことで、Revitalize Japanを実現できると確信しています。

上坂氏: DXを推進するには、それにふさわしいインフラの装備が必要です。社会基盤として利用される環境をしっかりと維持することが、私たちには求められています。

 コロナ禍において、日本のデジタル化の遅れが顕在化しましたが、その多くがインフラに起因したものです。インフラの拡張性やバックアップ、サイバー攻撃への対応、個人情報の保護など、日本ではやらなくてはならないことが数多くあります。そしてインフラの上で産業ごとのプラットフォームや産業の枠を超えたプラットフォームが構築され、DXが推進されることになります。

 マイクロソフトとキンドリルのパートナーシップは、この実現に向け、グローバルレベルの強固な連携の下、日本でのお客さま、業種業界に深く根ざし、両社のあらゆる協業形態を通じて、お客さまのビジネスに実直に貢献していくことにあります。統合クラウドベンダーとして既に市場およびお客さまでIT業界最大級の実績を持つマイクロソフトと、ITインフラ運用での知見や実績を基に複雑なハイブリッドIT環境を最適化することを目指すキンドリルが、日本企業ひいては日本市場のDXを加速させていきます。

上坂貴志氏と吉田仁志氏

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提供:キンドリルジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2022年6月21日