政府、金融、MaaSスタートアップ……AWS Summit Japanに見るそれぞれのクラウドの生かし方AWS Summit Japan 2022基調講演レポート(1/3 ページ)

クラウドファーストが当たり前となった今、あらゆる事業を推進するにはクラウドの機能や性能を理解したIT戦略が必要になる。政府、金融、スタートアップそれぞれのクラウドの生かし方を見る。

» 2022年06月08日 08時00分 公開
[加山恵美ITmedia]

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 2022年5月25〜26日、アマゾン ウェブサービス ジャパン(以降、AWSジャパン)が年次イベント「AWS Summit Japan 2022」を開催した。今回で通算11回目の開催となる。最新技術の解説やハンズオン、事例などのセッションに加え、チューニングバトルや3年ぶりの開催となるAWS Deep Racerリーグ(機械学習による自律走行レース)なども企画された。

 基調講演には同社社長の長崎忠雄氏が登壇。AWSの最新情報を発表するとともに、最新の顧客例を紹介した。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン 社長 長崎 忠雄氏

 長崎氏は「クラウドはITインフラのニューノーマル」と語るが、クラウドで稼働するワークロードは全体の5〜15%程度という調査結果もある。この状況を長崎氏は「まだ大きな可能性がこのクラウドの世界にある」と評価する。

 「クラウドの真価はイノベーションにある。最初から成功することはまずない。だからこそ試行錯誤をできるだけ早く、頻繁に、低コストで実行することが重要だ。クラウドを活用すれば誰もがイノベーションにチャレンジできる」(長崎氏)

Amazon Prime倉庫オペレーションが速まる背景にAWSを駆使した最適化

 AWSでビジネスイノベーションに挑戦する組織の例として、長崎氏が例示したのは「Amazon Prime」だ。このサービスのサプライチェーンにはAWSの最新テクノロジー、特に機械学習が至るところに盛り込まれている。機械学習でどの商品の売れ行きが伸びるかを予測し、どのタイミングで発注するか、どの倉庫に配置するか、どの手段や経路で配送するか、あらゆるタイミングで最適化を図り改善を続けている。

 倉庫内では自律走行ロボットが縦横無尽に行き交い、商品の出し入れなどで活躍しているという。「今では顧客が商品を注文してから平均29分で商品を出荷できる」と長崎氏は説明する。米国ではドローンやロボットによる配達も着々と準備が進められており、さらなるビジネスイノベーションに向けた挑戦が続く。

 このようなロジスティクス最適化や自動化など、データとクラウドリソースの力を生かした施策は米中をはじめとした海外が先行する印象があるが、国内でも官民、事業規模を問わず挑戦的な取り組みが目立ち始めた。講演では各分野におけるAWSユーザー事例が紹介された。

ガバメントクラウドにおけるAWSとデジタルイノベーション人材の開発を政府はどう見ているか

 AWSジャパンが近年注力するのが、政府や自治体などの公共向けのソリューションだ。特に2021年10月、ガバメントクラウドの基盤調達においてAWSとGoogle Cloudが入札したことは大きな話題となったことから記憶している読者も多いだろう。

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