デジタル主権確立はCIOの新たな職務に――「デジタル地政学」問題にガートナーが提言

Gartnerによると、多国籍展開する企業にとって「デジタル地政学」への対応は必須だ。CIOが中核的な役割を担うべきだというが、具体的に何をすべきなのか。GartnerCIOが管理すべきだと提唱する「デジタル地政学の4つの側面」を見てみよう。

» 2022年08月29日 11時30分 公開
[金澤雅子ITmedia]

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 Gartnerは2022年8月24日(現地時間)、国家間の政治に起因するテクノロジーガバナンスの問題によって「デジタル地政学」が多国籍企業のCIO(最高情報責任者)にとって取り組みを強化すべき課題になっているとの見解を発表した。

そもそも「デジタル地政学」とは? CIOとどういう関わりがあるのか

 デジタル地政学とは、デジタルテクノロジーとサイバースペース領域における国家(または国家共同体)間の競争を示す概念だ。国家間の競争は、結果として経済や軍事、社会など、さまざまな領域に波及する。各領域でデジタルテクノロジーの重要性が増していることから、デジタル地政学は影響力を持つ独自のカテゴリーとして台頭しつつある。

 2021年10月に実施されたGartnerの調査(米国、欧州、アジア太平洋地域で働く法人の取締役会メンバーを対象として2021年5〜6月にオンライン形式で実施。273人の取締役から回答を得た)(注1)によると、取締役の41%は「『地政学的なパワーシフトと混乱』は業績に対する最大のリスクの一つになる」とみている。

 Gartnerは「2026年までに多国籍企業の70%はリスクヘッジによって地政学的リスクにさらされる割合を抑制するために、事業展開する国を調整する」と予測している。

 Gartnerのブライアン・プレンティス氏(アナリスト兼バイスプレジデント兼ガートナーフェロー)は「デジタル地政学はいまや、CIOが対処しなければならない最も破壊的な(新しい価値基準に基づく)トレンドの一つだ」と述べる。

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