暗号資産領域の犯罪 2022年上半期は減少傾向も油断できない状況

2022年上半期における犯罪傾向は弱気な暗号資産相場につられてか、これまでとは異なるものになった。暗号資産関連詐欺の減少とDeFi（分散型金融）での犯罪増加の理由、そして今後の犯罪トレンドが分かった。

[関谷祥平，ITmedia]

　Chainalysisは2022年8月16日（現地時間）、2022年上半期（1〜7月）における「暗号資産関連犯罪レポート」を発表した。2022年上半期は暗号資産価格の下落もあり暗号資産領域での違法行為が減少したが、今後注目すべき例外も出てきた。

暗号資産の下落相場が与えた違法取引への影響

　2022年の上半期、特に5〜6月は暗号資産相場が全体的に大幅下落となり、Bitcoin価格は2〜2万4000ドルで推移した。2022年上半期における暗号資産取引の総取引額は、合法と違法どちらにおいても2021年の同時期を下回った。

　合法な取引における2022年上半期の総取引額は2021年上半期より36％の減少となり、違法な取引の総取引量は15％の減少となった。Chainalysisは「暗号資産価格の下落に伴い市場への期待や積極性が失われているが、犯罪グループの取引量は大幅下落とはなっておらず、今後の犯罪に向けて回復力を保っている」と警鐘を鳴らす。

図1　違法なエンティティが受け取った月次の暗号資産累計額（出典：「暗号資産関連犯罪レポート」）

2022年に減少した違法行為

　2022年上半期は暗号資産関連の詐欺行為が大幅に減少した。2022年7月までに詐欺グループが得た収益は16億ドルとなっており、2021年7月までの収益から65％の減少だ。暗号資産価格の下落を受け、詐欺グループによる活動が抑止された。