インフレでも日本企業の7割超がIT投資を「増額」 どこを強化するのか

Citrixが世界10カ国を対象にIT投資の動向を調査した。景気後退が予測される中でも、日本企業の7割超がIT予算を増額している。何に投資しているのだろうか。

» 2022年10月05日 15時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

 シトリックス・システムズ・ジャパン(以下、シトリックス)は2022年9月29日、世界的なインフレによるIT投資やイノベーションへの影響に関するグローバル調査結果を発表した。

 同調査は、米Citrix Systemsが世界10カ国(オーストラリア、ブラジル、コロンビア、フランス、ドイツ、日本、メキシコ、オランダ、英国)のITリーダーを対象に2022年8月に実施し、2500人から有効回答を得た。

インフレに通貨安でも日本企業の7割超がIT予算「増額」 投資先は?

 調査結果によると、調査対象となった世界のITリーダーの約9割(グローバル87%、日本86%)が「デジタル変革(DX)の取り組みを行っている」と回答した。

 また、7割強(グローバル76%、日本75%)がインフレや円安が進む現状でも、「今後1年間でIT予算が増加する」と回答した。ほぼ同数の約7割(グローバル69%、日本79%)は「インフレがデジタル施策にプラスの影響を与えた」とも回答していた。

 今後「予算配分が増えると考えられるイノベーション領域」としては、「サイバーセキュリティ」(グローバル28%、日本34%)や「クラウド移行」(グローバル、日本とも25%)などが上位に挙がり、特にプライオリティが高い取り組みであることが分かった。

インフレ・円安が進む現状で、優先順位が変化し、予算配分が増えると考えるイノベーション領域(出典:シトリックス・システムズ・ジャパン)

変化に対応するためのIT投資はどのくらいか

 インフレはIT投資や戦略にも影響を与え、特に顧客側には大きな影響を及ぼしている。今回の調査回答者の半数以上(グローバル55%、日本46%)は、「インフレにより顧客消費行動が変化した」と回答した。

 しかし同時に、多くの企業が、その「変化に対応するために、オンライン上で自社のビジネスをアピールする『デジタルプレゼンス』を高める必要がある」(グローバル59%、日本50%が)と回答。

 加えて、短期的に取り組むべき最優先事項として、「DX(デジタルトランスフォメーション)」(グローバル51%、日本58%)や、「セキュリティ」(グローバル51%、日本46%)を挙げた。

 こうした結果を受け、シトリックスは、「DXやクラウド化が進む中でも、脅威や脆弱性に対する課題が残っている」と指摘する。対策として、最新のゼロトラストネットワークアクセステクノロジーを取り入れて同社のデジタルワークスペースやセキュアアクセスソリューションなどの活用が有効だと説明する。

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