物流、倉庫業界で再注目されるBoston Dynamicsの技術Supply Chain Dive

ハネウェルとシーメンス、FedExらがこぞって物流や倉庫オペレーション自動化に投資を進めている。その一角を占める事業者が注目するのが、あのBoston Dynamicsの技術だ。

» 2022年10月07日 08時00分 公開
[Megan RugglesSupply Chain Dive]

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Supply Chain Dive

 ロボットメーカー各社は近年、電子商取引の拡大で業務が逼迫する物流事業者に対して自動荷下ろし技術を発表している。2019年には、ハネウェル(Honeywell)とシーメンス(Siemens)の2社が、倉庫のスループットを速め、作業員の安全性を向上させる完全自動の「トラックアンローダー」を発表した。

 FedExなどの物流大手も、倉庫の自動化に投資を続けている。FedExは荷物の仕分け自動化技術に多額の投資をしており、現在は最大ないし最小の荷物の荷降ろしと積み込みの技術に重点を置いている。

「3K」労働はロボットのものに

 サードパーティロジスティクス(3PL)事業者であるNFIは自律型ロボット「Stretch」を全米の倉庫に配備し、荷下ろし作業を高速化すると発表した。

Stretchの概要(出典:NFIのWebページ)

 ニュージャージー州に拠点を置くこの物流業者は、来年ジョージア州サバンナの倉庫でパイロットプログラムを実施し、このトラック荷役ロボットをデビューさせる予定だ。ロボットはロボットメーカーBoston Dynamicsの技術を採用する。

 NFIのIntegrated Design and Solutionsチームのシニアディレクターであるダスティン・グレイ氏は「最初の試験運用の後、この技術を北米のネットワーク全体に拡大する」とSupply Chain Diveに語った。

 NFIは、サバンナの倉庫でコンテナの積み下ろしを中心に試験的にStretchを使用する予定だ。同社は、より多くの倉庫にこの技術を導入し、従業員がより付加価値の高い作業に集中できるよう、労働力を補うことを期待している。

 「コンテナはかなり汚れているし、高温になることもある。手を伸ばしたり、体を曲げたりすることも多い」とグレイ氏は話す。

 「ロボットをコンテナの中に入れれば、従業員をそのような環境から解放し、より付加価値の高い環境に置くことができる」(グレイ氏)

 このロボットの最初の用途は「トラックの荷下ろし」だ。今後は他の用途向けの受注生産も計画する。グレイ氏は「このロボットを使えば、作業員が重いものを持ち上げたり、繰り返したりする動作の量を減らせる」と述べる。

 最初の展開では、全米にあるNFIの8つの積み替え用倉庫に焦点を当てる予定だとグレイ氏は言う。しかし「床置きのコンテナがある施設であれば、Stretchを導入するチャンスはある」と同氏は付け加えた。

 リリースによれば、ロボットアームと高度な視覚システムを備えたStretchは、50ポンドまでのさまざまな荷物を扱える。SKU番号や箱のサイズ情報を事前にセットする必要がない。荷降ろし中にずれたり倒れたりした荷物を自律的に回収することも可能だ。

 この契約により、NFIはStretchロボットに投資する2番目の物流プロバイダーになった。DHL Supply Chainは同社の物流センターにこのロボットを導入する契約を2022年1月に締結している。

 Boston Dynamicsのロバート・プレイターCEOは、「商品の需要は増え続けており、Stretchのようなロボットは、需要の急増に伴う課題の幾つかを軽減するのに役立つ」と共同リリースで述べている。

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