従業員急増で“システム崩壊の危機” チキン店がDX企業になるまでCIO Dive

事業拡大と従業員急増で事業運営の仕組みが崩壊しかけた企業が今やアプリ提供にも積極的なデジタル先進企業に。変化の中心にいたIT担当がそのいきさつを語った。

» 2022年11月10日 09時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

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 Raising Restaurants(以下Raising Cane’s)は、チキンフィンガーのクイックサービスレストランとしてルイジアナ州立大学のキャンパス内に1店舗をスタートさせた。それから約25年後の今日、同チェーンは33州で700店舗、約5万人の従業員を擁する大企業へと一気に成長した。

 順調に事業を拡大しているように見える同社だが、その途中でIT担当は小さなレストランのシステムから大規模なエンタープライズITシステムへの変化も体験した。壊れそうなシステムを目の当たりにした実務担当者が25年の変化を語った。

 フロリダ州オーランドで開催された「Gartner IT Symposium/Xpo 2022」で、Raising Cane'sのIT担当シニアバイスプレジデント、ヴィンセント・セヴァンズ氏は「システムやソフトウェアを拡張するために、ベンダーにサポートと指導を仰いでいる」と述べた。

 異なる規制や労働法を持つ他州への進出には、140を超えるインテグレーションが必要だったため、サービスの合理化と店内の日常業務の効率化、可視化を目指していた。

 そこでRaising Cane'sは、クラウドベースの経営情報管理サービスを提供するWorkdayの製品に着目して、プロセスのカスタマイズや微調整、福利厚生から給与計算までの人事サービスを実現した。

事業拡大をきっかけに従来の仕組みが壊れ始める

 「多くの企業と同様に、当社も多くの情報を紙や「Microsoft Excel」「Microsoft Word」で管理していた。しかし私たちのシステムは、実際に奇妙な方法で壊れ始めていた」とセヴァンズ氏は話す。

 その一例として、生命保険料の計算で使っていた会計システムが、3万2000人分の情報しか保持できないことが判明した。しばらくは動いていたが、やがて動かなくなり、同社は代替品を探すことになった。

 「2014年か2015年頃からこのような障害に直面するようになった」とセヴァンズ氏は言う。「そのとき、私たちは何かを変える必要があることに気付いた。企業として成長するための真のエンタープライズクラスのシステムを導入する必要があると認識した」

 Workdayを導入して以来、同レストランは他の技術の試験的導入に乗り出した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)時には、顧客向けモバイルアプリを構築して配布した。

 モバイルアプリはジオロケーション技術を利用して、顧客が店舗付近に近づくまで、モバイルアプリの注文をキューに入れたままにする。これにより、店員は注文に優先順位を付け、顧客に温かい新鮮な食品を提供できるようになった。

 最近では、ドローン配送サービス会社であるFlytrexを通じて、ドローン配送技術を試験的に導入している。

 同社はこのサービスを宣伝していないが、顧客から好評を得ており、このオプションが利用できる店舗の周辺に看板を追加することを検討している。セヴァンズ氏によると、好意的なフィードバックが続けば、Raising Cane'sは自社のモバイルアプリにこのサービスを統合することも視野に入れているという。


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