データ分析はコストがかさんでも民主化した方が「おトク」――調査レポートCIO Dive

データ分析の現状をITプロに尋ねたところ、十分に活用できていない企業が大半だった。その詳細を見てみると、投資のアプローチと回収の方法に課題が見えてきた。

» 2022年11月30日 10時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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CIO Dive

 IDCがデータ分析ソフトウェアベンダーAlteryxの委託を受け1501人のITリーダーを調査した結果によれば(注)、企業全体のデータに幅広くアクセスできることは、分析テクノロジーの投資対効果(ROI)を高めることと相関していることが明らかになった。

 データガバナンスを整えることと分析機能の最適な配備は、多くの企業にとって依然として課題になっている。回答者の10人中9人は「自社がデータ分析テクノロジーを十分に活用していない」と回答しており、「データ分析をベースにビジネス上の意思決定ができているケースは半分以下しかない」と報告している。

 財務指標を改善できている企業は、従業員のデータ分析スキルをより効果的に活用しようと、従業員がデータに容易にアクセスできるように手配しており、少なくとも4分の1のナレッジワーカーが分析テクノロジーの活用に積極的だった。

データ分析ツールに投資できても人には投資しない企業

 この調査によると、データ分析テクノロジーに投資した企業は、その費用を十分に最適化できていない。

 回答者の10人に9人が「自社では既存の人材分析スキルを十分に活用できていない」と答え、「スキルアップに十分な費用をかけた」と答えたのは5人に1人の割合だった。

 Alteryxのプロダクトマーケティングディレクターであるジェイソン・クライン氏は、「企業はテクノロジーに投資しているが、使い方や最適な利用方法を実際に従業員に教えていない」と述べている。

 データは企業が収益を上げるきっかけになり得るが、それは企業が従業員のデータリテラシーのトレーニング、分析能力の向上、データの豊かさを広めるガバナンスポリシーに取り組む場合に限られる。データアクセスを「一部の小さなポケット」に限定して、データ分析テクノロジーを民主化しない企業は、投資対効果の課題に直面する」とクラインは述べている。

データ分析「民主化」は工数がかさむが「封建主義」ではROI評価が苦しい

 クライン氏によれば、データの民主化には、人材不足、データ統合の課題、セキュリティの懸念、組織内の事業部門とIT部門の不整合など、さまざまな障壁がある。特に最後の項目は「シャドーITの動き」につながる可能性があるとクライン氏は指摘する。

 人材が増えて従業員のスキルが向上するにつれて、企業は情報を保護すると同時に、できるだけ多くの従業員がデータにアクセスできるようなガバナンスポリシーを検討する必要がある。

 「必ずしも全員が数字の数合わせに従事する必要はない」とクライン氏は言う。「誰もが分析プロセスに貢献して、そこから価値を得るということだ」

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