アプリで新規顧客を開拓する決め手とは? タコベルの「試行錯誤」から見えたヒントRestaurant Dive

メキシコ料理チェーン大手のTaco Bellはアプリにデリバリー注文機能を追加した。人材不足を補いつつ宅配網の構築に成功したかたちだが、果たしてこれらの施策は新たな顧客の開拓につながるのだろうか。

» 2022年12月09日 11時30分 公開
[Aneurin Canham-ClyneRestaurant Dive]

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Retail Dive

 タコスをはじめとするメキシコ料理を提供するファストフードチェーン大手のTaco Bellは最近、モバイルアプリでエンゲージメントを高めて、販売促進するための幾つかの施策を“テスト”している。

 2022年11月3日に同社は、リワード(報酬)アプリにデリバリー機能を追加したと発表した。同社のアプリで1年間に2000ポイントを達成した「Fire Tier」メンバーは、デリバリー機能を期間限定で利用できるようになる。Taco BellのFAQサイトによると、フードデリバリーのDoorDashとの提携によってこのデリバリーサービスが実現したという。ただし、提携の詳細は公式サイトでは明らかにされていない。

人気メニューの復活?「無料クーポン? 顧客を増やしたアプリ施策とは

 Taco Bellが実施している“テスト”の一つが、過去に何度か期間限定で配信された「Taco Lover's Pass」(注1)というサブスクリプションサービスの再開だ。

 Taco Bellの親会社であるYum! BrandsでCFO(最高財務責任者)を務めるクリス・ターナー氏は、「当社が展開しているPizza Hutでは社内で配達のための人員を確保するのが難しいため、外部人材を活用して需要の変化に対応する予定だ」と同社の第3四半期決算報告会で述べた(注2)。

 DoorDashの物流プラットフォーム「DoorDash Drive」と連携することで、Taco Bellは新たな人材を採用することなくアプリからデリバリーを提供できるようになる。

 Restaurant DiveがDoorDashから受信した電子メールによると、「今回の提携は、Taco BellとDoorDashが数カ月にわたって協力し合い、テスト運用により店舗運営者とダッシャー(配達パートナー)のオペレーションやコミュニケーションの効率化が成功して初めて実現したものだ」という。

 Taco Bellは、これまでリワード会員のみに期間限定で配布していた「Nacho Fries」(注3)の無料クーポンを、2022年11月7〜13日の間にデリバリーを注文した全てのロイヤリティーメンバーに配った。

 また、Fire Tierメンバーは2022年11月4〜6日の間にアプリでデリバリーを注文をすると、5ドルの割引が適用された。これは顧客にデリバリー機能を試してもらうことが目的のようだ。

 Taco Bellはプレスリリースで「こうしたサービスは、質の高い顧客体験を実現するために長期的に必要な投資になるだろう」と発表した。実際に、2020年夏にスタートしたロイヤリティープログラムの会員は現在増えており、デジタル注文も増加している。

 同社はTaco Lovers’ Passのような期間限定のサービスでリワード会員の増加につなげたり、牛肉やサワークリームをクレープでロール状に包んだ「Quesarito」のような、店舗のメニューからは削除された“廃番”商品をアプリから注文できるようにしたりと、デジタルで顧客を取り込むためにさまざまな工夫をしている。また、かつての人気メニューの中からどれを一時的に復活させるかを決めるファン投票を実施するなど、顧客を関わらせる施策にも取り組んでいるところだ。

(注1))10ドルを支払うことで、1カ月間限定で毎日タコスを1つずつ入手できるパス。タコスは数種類の中から選ぶことができる。
(注2)Yum! Brands, Inc. (YUM) Q3 2022 Earnings Call Transcript(Seeking Alpha)
(注3)スパイシーな味付けのフライドポテトにチーズソースなどのディップを付けて食べるTaco Bellの人気商品。
(注4)Taco Bell’s subscription service increased rewards members by 20%(Restaurant Dive)

(初出)Taco Bell adds in-app delivery with DoorDash

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