AWS、Alphabet、MS ビッグテック企業それぞれの採用活動事情CIO Dive

Amazonは経済の見通しが厳しくなるにつれ、採用活動にブレーキをかける方針を明らかにした。新規の人材採用を控える見込みだ。事実、AWSの求人は方針発表後に約35%減少した。

» 2022年12月14日 07時00分 公開
[Naomi EideCIO Dive]

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 Amazonは2022年11月初旬、従業員に対して「全社的に採用を一時休止する」と通達し、新規の人材採用を控える方針を明らかにした(注1)。同社は「特定の役職や事業分野においては、従業員の追加を検討します」とも述べている。

 この採用休止の影響は、同社の収益を支える「Amazon Web Services」(以下、AWS)にも及んでいる。

 「CIO Dive」がAmazonの採用ページで公開されているAWSの求人を調査したところ(注2)、Amazonは全社的な採用休止を発表した翌日に9000件以上の求人を掲載していたが、次の日の午後には5700件強となっていた。つまりAWSの求人は、約24時間後に約35%も減少したことになる。

 さらに、Internet Archiveが運営するサービス「Wayback Machine」で過去のWebページを閲覧すると、2022年10月3日に公開されていたAWSの求人は2万1100件であり、そこから急激に減少している(注3)。CIO Diveは、この採用休止がAWSに与える影響に関して(AWNに)質問したが何も回答を得られなかった。

 テック企業大手が事業運営に慎重な姿勢を取っていることは、経済全体の収縮をさらに長引かせている。

 Amazonの中で最も利益を上げているセグメントのAWSでさえ、成長率が鈍化している(注4)。AWSは2022年9月30日に終了した第3四半期で、前年同期比27%の成長を記録し、純売上高は205億ドルを突破したが、前年同期に記録した前年比39%の成長率に比べれば下回った。

大手テック企業も次々と MicrosoftやAlphabetも採用を減らす方針

 クラウドサービスを提供する企業の中で、運用コストの削減にかじを切っているところは、AWSだけではない。Microsoftは2023年から採用を減らす計画を立てており、少数ながらレイオフ(一時解雇)を実施した。

 ニュースサイトのAxiosは2022年10月中旬に「Microsoftは職種、チーム、地域を問わず約1000人の雇用を削減する計画である」と報じた(注5)。

 Microsoftの場合、第4四半期である2022年6月30日までの従業員の退職関連費用は1億1300万ドルにも上る(注6)。同社は次の四半期決算を発表した同年10月25日に、「当社の従業員数は依然として前年同期比22%増加している」と強調した。しかし次の四半期の人員増加は最小限にとどまると予想しているようだ(注7)。

 Microsoftは「人員削減や雇用の停滞がどのセグメントに影響したか」という質問には答えなかった。同社の広報担当者は「他社と同様、弊社は定期的にどの事業に注力すべきかを検討し、それに応じて構造的な人員調整を実施しています。今後1年間は、主要な成長分野への投資と雇用を継続していきます」と述べている。

 Alphabetは営業費用の増加を抑えるため、2023年には採用のペースを緩める予定だ。同社CEO(最高経営責任者)のサンダー・ピチャイ氏は「第4四半期の採用は第3四半期の半分以下にとどめるだろう」と、2022年10月下旬に開催された同年9月30日締めの第3四半期決算説明会で発表した(注8)。

 AlphabetとGoogleのCFO(最高財務責任者)であるルース・ポラット氏は「『Google Cloud』の成長は期待通りで、今後も事業投資を継続する予定だ」と語った。決算説明会では「現在もクラウドサービスにおける収益性とフリーキャッシュフローの強さを生かす方針を貫いてる」とも話している。

 Google Cloudの広報担当者は「CIO Dive」の取材に対して「当社は重要な役職を務められる人材の採用を続けている」と述べている。

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