AWSは災害現場でのクラウド利用を想定して「災害対応ハイブリッド車」を開発している。インターネットが使えない現場でこそ力を発揮するその車両の機能とは。
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Amazon Web Services(以下、AWS)は同社の年次イベントである「AWS re:Invent 2022」(開催期間:2022年11月28日〜12月2日)で開催した。同イベントでは約2000のセッションに加えさまざまな展示が行われ、その中には「災害対応ハイブリッド車」もあった。
同車両の存在意義でもある「Snowball」という技術は、ウクライナの戦場でも使われているものだ。インターネットが使えない現場でこそ、その能力を発揮する災害対応ハイブリッド車の性能を聞いた。
AWSの「災害レスポンスチーム」によって作られたこの車両は、主に「クラウドを災害地に運ぶ」ことを目的としており、そのためにSnowballという技術を採用している。
Snowballとは同社が持つSnowシリーズのもので、AWSサーバの一部を専用のボックスに入れ、そこにPCをつなぐだけでAWSのクラウド環境を利用できるようになるというものだ。担当者はSnowballのサイズについて「飛行機に持ち込めるサイズを目標に設計している」と話した。
説明を行った担当者は「ロシア進行を受け、ウクライナではどのようにインターネット環境を維持するかが課題だった。人々の生活を支えるためにはデータを収集して処理する必要があった」とSnowballの必要性を語った。
Snowballは重量約22キロ、80TBのHDDと40コア分のCPU、80GBのメモリを搭載する。現在、災害対応ハイブリッド車はイベントで展示された一台のみとなっているが、担当者は「今後、数を増やす想定をしている」と話す。
同車両は天井に中軌道衛星コンステレーションサービス「O3b mPOWER」のアンテナが搭載されており、その他、LTEや5G、Wi-Fiなどでのネットワーク接続機能も備える。ドローンなども積んで利用される予定だ。
担当者によればロシアによるウクライナ進行の前には、米ケンタッキー州で起きた竜巻による災害現場で同車両が使用されたという。
「災害はどこで起こるか分からない。現代の災害現場では状況把握はもちろん、人々の生活を守るためにインターネットの存在が欠かせなくなっている。クラウド事業者としてその機能をどこへでも届けたい」(担当者)
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