半導体不足に苦しむ日産自動車 ソーシング調整をしてもなおSupply Chain Dive

日産自動車は、半導体不足やv拡大によるロックダウンの影響を受け、中国での販売台数が大きく減少する見通しだ。サプライチェーンの課題は解決していないが、その状況に反して同社は前向きな姿勢を示している。

» 2022年12月19日 08時00分 公開
[Kelly StrohSupply Chain Dive]

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 日産自動車の内田 誠代表取締役兼CEO(最高経営責任者)は2022年11月9日の決算説明会で次のように発表した。

 「中国での半導体不足や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴うロックダウンが想定以上に生産に影響したため、販売台数の見通しを引き下げた。2022年度の販売台数は予測値の400万台から370万台に減少する見込みだ」(注1)

 日産自動車 COO(最高執行責任者)のアシュワニ・グプタ氏は第2四半期の電話会議で「中国の生産台数は、部品の制約とCOVID-19の制限により、前期比23.5%減の24万2000台だった。生産台数が伸びた国もあるが、その増加分を相殺するほどの減少だ」と述べた。

 「下半期には生産台数が増加すると見込んでいるが、中国でのロックダウンの影響で世界での生産台数は不安定で先行きも不透明だ」と内田氏は話す。

「デュアルソーシング」による調達分散の効果はどうなっているのか

 日産自動車はより多くの半導体を確保するために内製と外注を同時に行う「デュアルソーシング戦略」に取り組んでいる。加えて、半導体の代替品を使用することで、2021年度に不足した主要部品の供給量を2倍以上に増やした。

 ところが、サプライチェーンに関する課題は依然として残っている。

 「デュアルソーシング戦略と代替品の使用だけでは、全ての需要を満たすのは難しいだろう。2023年度も半導体を中心としたサプライチェーンの課題に直面すると思われる」とグプタ氏は推測する。

 日産自動車のサプライヤーは、電力や物流、原材料のコスト上昇に頭を抱えている。この状況を受け、内田氏は「サプライヤーとの対話を続け、共に成長できるよう協力しながらこうした課題に取り組んでいきたい」と意気込みを述べた。

 サプライヤーは増産に向け努力しているが、それでも半導体不足は2023年にまで及ぶと予想される。特に自動車メーカーは生産の遅れが続いているため、工夫を凝らしてサプライヤーとの関係改善や強化に注力しなければならないだろう(注2)。

 例えば、General MotorsとFord Motorは、半導体の供給を確実にするために、サプライヤーとの協力関係を強めているところだ(注3)。

 ホンダも2022年初頭にマレーシアの大洪水で半導体不足が深刻化したため、日産自動車同様デュアルソーシング戦略に転換するなど、サプライチェーンの見直しに着手した(注4)。

 一方で、日産自動車は中国でのロックダウンによる生産難や半導体不足といった状況を悲観することなく、一貫して前向きな姿勢を示している。

 「先行き不透明な状況が続くかもしれないが、今期は半導体不足の影響を抑え、生産を回復するために効果的な手段を講じることができた」とグプタ氏は振り返った。

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