ローカル5Gの短期立ち上げへ MECにUPF機能を統合

店舗や建設現場のデータ活用への活用が期待されるローカル5Gについて、従来よりもコンパクトな構成で導入可能なものが出てきた。採用ハードルが下がれば新たな顧客体験開発や業務分析の施策を検討できる。

» 2022年12月26日 17時00分 公開
[ITmedia]

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 NECは2022年12月23日、「ローカル5G用UPF(MEC統合版)」の販売を開始した。エッジコンピューティング環境構築のための製品ポートフォリオである「NEC Edge Platform」に含まれる。出荷は2023年2月15日から。販売価格は最小構成で424万8900円から。

 従来よりもシンプルに導入できるようになることからNECはローカル5Gソリューション検討のすそ野を広げ、PoC(概念実証)に取り組む企業が増えるとみている。

NECが想定するソリューション活用の例(出典:NEC提供資料)

小売店など今までよりも小規模な場所でもローカル5Gの導入検討が可能に

 ローカル5G用UPF(MEC統合版)はローカル5Gの通信を制御するUPF(User Plane Function)機能を、IPネットワーク向けの通信を担うMEC(Multi-access Edge Computing)と統合することで、設置機器の構成をシンプルにする。NECの試算によれば機器導入コストを従来比約19%低減できる。

 通常、基地局設置には免許取得が必要なため、5カ月程度の期間が必要だが、PoCが前提であればNECが持つ実験基地局で構成する「ローカル5G可搬型トライアルパック」を利用すれば約3ヵ月ほどで設置可能だ。

コスト削減とシンプル化を実現(出典:NEC提供資料)

 MEC部分はメモリやディスク容量の拡張、GPU(NVIDIA T4)増設も可能なため、エッジでの処理内容に合わせた構成で設置できる。映像や画像処理に基づくAI判定などの処理も想定する。

 今後は制御機能(CU/DU)を持つ無線基地局の提供も予定している。NECは、これらの製品ラインアップ投入によって、ローカル5Gを前提としたソリューションの検討ハードルを下げる狙いだ。

 建築現場や商業施設、公共施設、工場やオフィスビルの1フロアといった従来のローカル5G事例よりも小規模な利用用途での採用も想定しており、人の対流圏地や侵入検知といった画像検知のエッジデバイスとしての利用が進む他、小売店のレジ待ちの状態把握や属性検知などの用途にも利用できるとしている。

 これらの取り組みの一環として、NECが自社顧客とパートナー企業との共創を支援する「共創コミュニティ for EdgePlatform」において、ローカル5G用UPF(MEC統合版)も対象商品に追加する。NECのパートナー企業が持つエッジAIなどと組み合わせたソリューションの拡大を目指す計画だ。

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