Red HatがAIの民主化に向けて新戦略 LLM開発を促進させるプロジェクトを発表

Red Hatは同社の年次イベントでAI基盤プラットフォームや大規模言語モデル「Granite」のオープンソース化を発表した。企業がより容易にAI活用できるように複数の支援を提供する。

[後藤大地，有限会社オングス]

　Red Hatは2024年5月7日（現地時間）、米国コロラド州デンバーで開催中の「Red Hat Summit 2024」において同社が取り組むオープンソースAI活動およびAI製品に関する情報を発表した。

Red HatがAIプロジェクトやLLMをオープンソースで提供

　Red HatはAIモデルやAIプラットフォーム、AIインフラストラクチャの選択肢を提供するとともに、AI機能を強化するためのコミュニティーに貢献することで、企業にとってAIをよりアクセスしやすくオープンで制御可能なものにすることを目指している。

　発表された主な内容は以下の通りだ。

• 「InstructLab」のオープンソース化：　InstructLabはシンプルなユーザーインタフェースを使って個人がAIモデルを強化できるツールおよびプロジェクトだ。ユーザーはデータサイエンティストでなくても大規模言語モデル（LLM）への貢献とトレーニングが可能になる。これによって、新たなデータでAIを訓練するプロセスを簡素化し、専門的なハードウェアや知識がなくともさまざまなアプリケーションにAI機能を統合できる。InstructLabはIBMとRed Hatが開始したプロジェクトであり、オープンソースコミュニティーの力を借りて生成AIの民主化を目指している
• 「Red Hat Enterprise Linux AI」（RHEL AI）の発表：　RHEL AIは、オープンソースのLLM「Granite」やInstructLab、AIツール、AIに最適化されたLinuxインスタンスを含んだ基盤モデルプラットフォームだ。Granite生成AIモデルをシームレスに開発や試験、実行するためのプラットフォームを提供する。なお現時点では開発者プレビューとしての提供となる
• Graniteのオープンソース化：　Graniteファミリーをオープンソース化した
• 「OpenShift AI」の機能拡張：　OpenShiftに構築されたエンタープライズAIプラットフォームであるOpenShift AIの機能を拡張した。複数のモデルサーバの管理やエッジデプロイメントのサポート、OSSのフレームワーク「Ray」による分散トレーニング、「Ansible」などRed Hatの他の製品との統合といった新機能が含まれている
• Intelとの協業：　AI半導体「Goudy 2」や「Goudy 3」を含むIntelのAI技術をRed Hatのポートフォリオに統合してRed Hatのソリューションとの相互運用性を向上させて、企業のAI活用を促進させる
• DellやLenovoとのAIソリューション検証：　DellやLenovoといったハードウェアベンダーと協力し、ハードウェアベンダーのプラットフォームにおけるRed HatのAIソリューションの試験や検証、提供に取り組む

　Red Hatは発表を通じてAI開発がオープンかつ協力的で、より広い範囲のユーザーやアプリケーションにとってアクセスしやすいものになる未来を見据えていることを強調した。これはオープンソースの原則に対するRed Hatの広範なコミットメントと一致している。Red Hatの目標はAI革新の障壁を取り除き、これらの技術をより実用的でアクセスしやすいものにすることだという。