IBMとAWSがハイブリッドクラウドの提携を拡大 その狙いはCIO Dive

IBMとAWSは戦略的提携は何を実現するのか。

» 2023年01月11日 08時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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CIO Dive

 IBMは2022年11月末、同社が提供する「Envizi ESG Suite」「Planning and Analytics with Watson」「App Connect Enterprise」「Content Services」の4つのサービスがAmazon Web Services(AWS)上で「as a Service」として利用可能になったと発表した(注1)。

 また、IBMとAWSによれば、「AIOps」(Artificial Intelligence for IT Operations:IT運用を強化するための人工知能(AI)の活用)に加え、システムのオブザーバビリティー(可観測性)に寄与するソフトウェアなども2023年の前半にAWS経由で利用できるようになるという。

両社の狙いは"業界での地位の獲得"? ユーザーにメリットはあるのか

 2022年11月末に行われた発表は、同年5月の戦略的業務提携の契約締結に基づいている。AWSの顧客は50以上のIBMソフトウェア製品をAWS上で利用でき、また、既存のオンプレミスライセンスを持つ顧客はBYOL(Bring Your Own License)形式でも使える(注2)。

 米国のクラウド市場でパブリッククラウドの巨人として知られるAWSは(注3)、同じくメインフレームの巨人IBMと手を組み、オンプレミスとクラウドコンピューティングの融合で業界の地位を確立しようとしている。

 両社は2022年8月、IBMのチャネルパートナーに対して「AWS Marketplace」でIBMのデータやAIソフトウェアを再販する権限を与えるプログラムを開始した(注4)。また、今回のパートナーシップにより、独立系ソフトウェアベンダーは2022年10月に発表されたAI搭載の新製品3種を含むIBMのソフトウェアをAWS経由で入手できるようになる(注5)。

 IBMによれば、新しいSaaS(Software as a Service)の提供に加えてメインフレームとクラウドの両方のメリットを享受できる「Z and Cloud Modernization Stack」もAWS上で利用可能にするという。

 IBMでグローバル戦略パートナーシップの責任者を務めるニック・オットー氏は、パートナーシップの強化に対して「クラウドとオンプレミスの間にある摩擦を減らすのが、継続的な協力関係を締結した目的です」とCIO Diveのインタビューでコメントしている。

 IBMのコンサルティングチームが獲得したAWSの認定資格は1万5千件を突破していることに加え、今回のパートナーシップの強化を受けて両社の関係はさらに成長するとみられる。

 「AWSはIBMのメインフレームに対する学習を深めており、『さまざまなタイプのコンピューティングがなぜ必要なのか』を理解しようとしています。当社もメインフレームを使った処理が必要なケースを把握し、それについてAWSのコンピューティング環境で最適に動作させる方法を見つけることに注力しています」(オットー氏)

 今回のパートナーシップを受けて、AWSの顧客はIBM製品を通してハイパースケーラーと呼ばれるクラウドベンダーにコミットされている既存のクレジットを、AWSクラウドでも利用できるようになる。

 IBM Ecosystemのゼネラルマネジャーであるケイト・ウーリー氏は、CIO Diveのインタビューで「IBMとAWSは、常にそれぞれ異なる視点で製品やサービスを見ています。今回のパートナーシップを受けて、メインフレームやパブリッククラウド、そしてそれらの連携などを気にせずとも質の高いサービスを提供できるようになるでしょう」と話した。

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