AWSがSCMソリューション「AWS Supply Chain」を発表 その実力は?Supply Chain Dive

AWSは機械学習を利用してサプライチェーン全体のデータをリアルタイムで統合できる「AWS Supply Chain」を発表した。可視性を高めて顧客のエラーを減らすなど、市場の潜在的な問題の解決を目指す。

» 2023年01月16日 07時00分 公開
[Kelly StrohSupply Chain Dive]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

Supply Chain Dive

 「Amazon Web Services」(以下、AWS)は、サプライチェーンの可視性を高め、変化する市場環境に対応するための新しいクラウドアプリケーション「AWS Supply Chain」を発表した(注1)。

 このシステムは、使った分だけ利用料が発生する従量課金制を採用している。顧客は各システムからデータをプールし、それをリアルタイムで管理、変換、保存する「サプライチェーンデータレイク」の一元化が実現できる。

既にプレ稼働が開始 AWS Supply Chainの実力は?

 現在、米国のバージニア州北部とオレゴン州、ドイツのフランクフルトで、AWS Supply Chainのプレビューが始まっており、近日中にその他の地域でも利用できるようになる。キッチン用品を中心に展開するLifetime Brandsやバーベキュー製品を扱うTraeger Grills、大手スーパーマーケットのWhole Foodsなどが、すでにこの新たなプラットフォームを使用している。

 AWS Supply Chain担当副社長のディエゴ・パントハ・ナバハス氏は「AWSのこの新しいアプリケーションは、顧客がサプライチェーンをより深く理解し、リアルタイムの情報に基づいて正確に意思決定する手助けをします。それによってリスクの軽減やコスト削減につながるだけでなく、エラーを減らしつつ柔軟性を実現できるのです」と語る。

 同氏は「AmazonとAWS以外の顧客も利用できるAWSサプライチェーンは、小売や消費財、自動車、ヘルスケア、エネルギーなど、さまざまな業界で利用できる」と『Supply Chain Dive』に語った。

 「私たちはサプライチェーンで起こっている問題を可視化して把握するために、ML(機械学習)を活用したツールを提供したいと考えています。サプライチェーンの問題の多くは、前の日の情報に基づいて決定を下していることです。正しい決定に必要なのは、リアルタイムの情報なのです」(ナバハス氏)

 さらにナバハス氏によると、AWS Supply Chainは外部のアプリケーションやシステムと自動で同期する。これによって、情報の散らばったサプライチェーンの管理負担を軽減するという企業の課題解決につながる。

 アプリケーションには、既存のERPやサプライチェーンプランニング、実行ソリューション、調達アプリケーション、POS(販売時点情報管理)などが含まれる。また情報は、単一のフォーマットで顧客に提示され、必要なインサイトやアプリケーションが提供するその他の利点に変換できる。

 「AWS Supply Chainは、AWSに移行したり、あるいは稼働中の既存のシステムを離れたりする必要はありません。基本的に、異なるシステム間の情報を統合するシステムとして機能するオーバーレイと捉えています。各システムに付加価値を与え、全てのシステム間のデータを調和できます」とナバハス氏は語った。

(注1)AWS Announces AWS Supply Chain(businesswire)


© Industry Dive. All rights reserved.

注目のテーマ