Veeam、データ保護の動向に関する調査を公開 企業のレジリエンスの実態は?

ランサムウェア攻撃が激化する中、災害復旧、事業継続といった意味でデータ保護の重要性は高まっている。Veeamが公開したデータ保護の動向を調査したレポートから企業の実態が明らかになった。

» 2023年01月18日 11時43分 公開
[田渕聖人ITmedia]

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 バックアップやリカバリー、データ管理ソリューションを提供するVeeam Software(以下、Veeam)は2023年1月17日(現地時間)、グローバル企業におけるIT施策の責任を持つ意思決定者とITシステム担当者4200人以上を対象に、データ保護の動向を調査した「データプロテクションレポート 2023(英語)」を発表した。同調査は2023年で4回目となる。

 Veeamによれば調査結果から、企業はより複雑なハイブリッドIT環境においてデータが十分に保護されていないと感じており、この対応に迫られていることが判明した。

5分の4の企業がビジネス部門の期待に応えられていない

 調査結果のサマリーは以下の通りだ。

事業継続には「最新のデータ保護」が必要

 5分の4の企業は「ビジネス部門が期待するものとITサービスが提供できるものの間にギャップ(不満や不安)を感じている」と回答した。82%は、必要とされるシステム復元の速度とIT部門が実際に復元できる対応速度の間に「可用性のギャップ」があると回答している。

 また79%の企業は、消失してもよいデータ量とIT部門によるデータ保護頻度との間に「保護ギャップ」があるとしている。この課題に対処するため、回答企業のうち57%が「2023年にデータ保護予算を増やし、主要データ保護ソリューションを変更したい」と回答している。

82%は必要とされるシステム復元の速度とIT部門が実際に復元できる対応速度の間に「可用性のギャップ」があると回答した。また79%の企業は、消失してもよいデータ量とIT部門によるデータ保護頻度との間に「保護ギャップ」があると回答している(出典:Veeamの提供資料)

データ保護予算は増加している

 調査によると、2023年に世界的に企業はデータ保護予算を6.5%増やす見込みだ。データ保護予算増加を計画している85%の企業における平均増加率は8.3%で、多くの場合、サイバーセキュリティツールへの投資と連動している。

課題意識と対策が進むが、ランサムウェア攻撃は依然として脅威

 2020〜2022年の間、サイバー攻撃は組織にとって最も影響力のある機能停止を引き起こした。85%の企業が「過去12カ月間に少なくとも1回は攻撃を受けた」と回答している。具体的には、暗号化や破壊されたデータのうち、サイバー攻撃から復旧可能なものは55%にすぎず、データ復旧が主要な懸念事項となっている。企業が最新のデータ保護ソリューションに求める最重要項目は「サイバー攻撃対策の戦略内にデータ保護が統合されていることだ」と回答した。

85%の企業が「過去12カ月間に少なくとも1回は攻撃を受けた」と回答している(出典:Veeamの提供資料)

ランサムウェアがDXの最大の障害に

 ランサムウェアとそれに対する不安定なサイバーセキュリティ対策の現状は、予算と人的リソースへの負荷が大きく、IT部門にとって優先度の高いものとなっている。このため、本来はデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に割り当てられるITリソースと予算が、サイバーセキュリティ対策に割り振られるようになっているのが現状だ。

コンテナ中心のワークロードに注目が高まる

 コンテナ、特に「Kubernetes」は、5年前のSaaSや15年前の仮想化の初期導入層に見られたようなデータ保護戦略の格差がありながら、主流の生産プラットフォームのあらゆる特性を示している。

 回答企業の52%は現在コンテナを実装しており、40%はコンテナの導入を計画している。だが大多数の組織は、ワークロードそのものを総合的に保護するのではなく、基盤となるストレージを保護するだけにとどまっている。Veeamによれば、これは新しい生産プラットフォームが主流となり、従来の保護方法では不十分であることが認識された際に、包括的な保護を実現するためにサードパーティー製のバックアップツールを使用する機会が生まれた場合によく見られる現象だ。

 Veeamのダニー・アラン氏(最高技術責任者(CTO) 兼 製品戦略担当シニアバイスプレジデント)は調査結果から「IT部門の決定権者は二重の課題に直面している。1つ目は複雑化するハイブリッドIT環境の構築とサポートで、2つ目はサイバー攻撃の頻度と巧妙さが増加していることだ。これらは、さまざまなトラブルから事業を守り、回復する方法を考えるリーダーにとって大きな懸念事項となっている。従来のバックアップアプローチでは、IaaSやSaaSからコンテナに至るまで最新のワークロードに対応できず、最も必要なときに復旧に時間がかかり、ビジネスの信頼性が低下する結果を招く恐れがある。これがサイバーレジリエンス戦略を検討するITリーダーの頭を悩ませており、先進的データ保護が必要とされている背景だ」とコメントした。

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