ベリタスの「Autonomous Data Management」 日本企業のデータ課題をどう解決するのか

DX(デジタルトランスフォーメーション)の広がりを受けて、データ活用に取り組む企業が増えている。一方でデータの保護や管理は複雑化しており、多くの企業が頭を悩ませている。企業が持つ課題の解決策と、ビジネスをサポートするサービスを聞いた。

» 2023年01月12日 08時00分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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高井隆太氏

 ベリタステクノロジーズ(以下、ベリタス)は2022年2月24日、統合データ保護製品の最新版である「NetBackup 10」および、データ保護・管理プラットフォームの新しいビジョン「Autonomous Data Management」(ADM)を発表した。ADMは、自動化の先にある自律化を実現し、複雑化するデータ保護環境での運用管理や最適化の作業を削減することを目的とする。

 日本企業が抱えるデータに関する課題に対し、ADMはどのような効果をもたらすのか。ベリタスの高井隆太氏(テクノロジーソリューションズ部常務執行役員)に聞いた。

企業が抱えるデータにまつわる課題 解決のための道筋は

 高井氏は、企業が抱えるデータに関する課題について「データにまつわる課題はさまざまなものがあるが、その中でも特に重要なのは『ビジネスを継続させるための回復力』だ」話す。

 今やビジネスの成長に欠かせないデータ活用だが、「データはクラウド環境を含めてどこにあっても"破損"する可能性がある」というのが同氏の意見だ。そのような中で、データ保護や管理は複雑になっており、「これらの作業にユーザーの対応が間に合っていない」と高井氏は警鐘を鳴らす。

 「管理が行き届いていない状態でサイバー攻撃を受ければ、それらのデータを復旧させることはコスト的にも組織内での工数的にも難しい。このような問題を抱えている企業は多い」(高井氏)

図1 バックアップとリカバリーが予算超過しやすい分野だと明らかに(出典:ベリタス提供資料)

 これらの課題を解決するために、企業はどうすべきなのか。

 高井氏は「まずはデータの所在を明確にし、それらを保護する環境を整える。一方で、それらの作業に多くの費用や工数がかかるようでは実際の取り組みは進まないだろう。企業は『安全かつ最適なツール選定』を行わなければならない」と語った。

 同氏によれば、データ保護や管理において「予期せぬ出費」に多くの企業が頭を悩ませているようだ。

図2 大多数の企業はクラウドサービスの利用料を予算内に収められていない(出典:ベリタス提供資料)

課題を解決するために ベリタスの「Autonomous Data Management」

 高井氏はADMの価値について、「データの管理や保護は、目に見えない形で自律的に行われるべきであり、人間の監視を妨げるものであってはならない。これがベリタスが目指す未来だ。これまでのAutomated(自動化)からAutonomous(自律的)へ企業を変化させるためにADMがある」と解説した。

 企業の自律的なデータ管理を実現するというADMだが、その特徴は何なのか。

 高井氏は特徴について、「瞬間的な適応と修正」「ビジネスレジリエンスの向上」「効率的な運用の実現」「脅威に対する積極的な防御」「二酸化炭素排出量の削減」を挙げた。

 「これまでの自動化技術を高度なAI(人工知能)やクラウドと融合させることで、組織は自律的にデータの管理や最適化を実行でき、余ったリソースを本来のビジネスに充てられる」(高井氏)

 ADMを実現するために、ベリタスは同社の統合クラウドデータ管理プラットフォームである「Veritas NetBackup」(以下、NetBackup)をNetBackup 10という形へと進化させた。

 NetBackup 10は3つの特徴を備える。1つ目が「マルチクラウドへの最適化」だ。Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure(Azure)をはじめとする複数のクラウドに対応しており、クラウドネイティブな環境を容易に活用することができる。また、最適なデプロイメントモデルを適用することで、可視性も向上している。

 2つ目が「サイバーレジリエンス」だ。包括的かつ統合化されたデータ保護を実現し、アクティブなサイバー攻撃への防御を実施する。

 3つ目が「インテリジェントな保護」だ。イベントドリブンな自動化を実施することで、コスト削減やカーボンフットプリントの削減を実現する。

 「ベリタスは常にアーキテクチャを変革し、ユーザーの利便性やビジネスの成長を強力にサポートしていく。NetBackup 10の後も、ADM実現に向けてさらなる進化を遂げる予定だ」(高井氏)

  NetBackupの変化を示したものが以下の図3だ。

図3 NetBackup 自律化したデータ保護実現に向けて(出典:ベリタス提供資料)

 高井氏によれば、NetBackup 10の利用も日本で徐々に拡大している。高井氏は日本市場での現状と今後について、「データ保護に必要なあらゆる機能を統合的に提供していることが強みの一つではあるが、一方で部分的に使用できる柔軟性も合わせて持っている。実際に一部のクラウドサービスを従来のオンプレミスを組み合わせて利用しているユーザーも多くいる。そういったユーザーからは『自動化された機能やサービスを効率的に利用できて助かる』という声をいただいている。今後もわれわれの強みを生かしてユーザーのビジネスをサポートしていきたい」と話した。

 高井氏は最後に「ユーザーのサイバーレジリエンスを高めることはもちろん、効果的なクラウド活用を広げていく。その結果として、ユーザーの作業負担が軽減し、限られた人員でも大規模なデータ保護作業ができる社会を目指す」と語り、インタビューを終えた。

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