みずほFGが富士通と提携 金融機関がSaaSプロバイダーに

みずほFGが環境経営ソリューションを導入。同時に、傘下のみずほ銀を介して顧客向けSaaSサービスも展開する。

» 2023年01月27日 12時20分 公開
[山口哲弘ITmedia]

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 みずほフィナンシャルグループが富士通JapanのSaaS型サステナビリティ経営情報サービス「FUJITSU Sustainability Solution Eco Track」(Eco Track)を導入する。同時に富士通とみずほ銀行は、法人顧客を対象に、ESGとSDGs全般に向けたデータ管理サービスに関する連携を開始すると発表した。

みずほFGと富士通Japanの協業イメージ(出典:富士通のWebページ)

金融機関がSaaS提供に進む理由

 Eco Trackは、気候変動への対応など企業のサステナビリティ経営やカーボンニュートラルの取り組みに向けて、必要な環境データやその他非財務情報などの多種多様なデータの収集から集計、開示までを総合的に支援するSaaS型のサービスだ。これらのデータは企業評価につながる指標として、正確性や即時性、データのトレーサビリティが重要視されている。

 Eco Trackは、データ精度を向上させる補助機能や、収集、集計プロセスを明確にするワークフローを標準装備している。データを活用した報告や開示を支援し、第三者による検証や保証をスムーズに実施できるという。富士通はEco Trackを通じて、みずほフィナンシャルグループの温室効果ガス(GHG)排出量の算定や可視化、多様なESGデータ(非財務情報)の総合管理への拡大を支援する。

FUJITSU Sustainability Solution Eco Track(Eco Track)の機能概要(出典:富士通のWebページ)

 みずほフィナンシャルグループは、サステナビリティを経営戦略と一体的に捉え、グループ全体でサステナビリティへの取り組みを推進し、非財務情報の開示に取り組んでいる。世界的なサステナビリティ開示基準の議論や、各国における非財務情報の法定開示義務化の検討に伴い、GHG排出量など非財務情報のより正確で迅速な収集や集計、開示が重要になることから、Eco Trackの導入を決定したとしている。2023年度の運用開始を目指す。まずは、国内外拠点のGHG排出量の算定や集計、可視化から始め、その後、人事データや労働安全などの非財務情報の収集や集計に活用範囲を拡大して、非財務情報開示の正確性や即時性の向上を図る。

 一方、ESG、SDGsに向けたデータ管理サービスに関する連携においては、みずほ銀行の環境およびエネルギーソリューションに関する知見と、サプライチェーン全体のCO2排出量可視化など富士通のクラウドサービスを組み合わせて、顧客の脱炭素化やサステナビリティ経営の効率化を支援する。

 具体的には、みずほ銀行のネットワークや知見を活用して、顧客の環境経営に関する課題やニーズを聞き取り、富士通のEco Trackや「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA 工場最適化ダッシュボード」などを提供する。これによって顧客のGHG排出量を算定・可視化でき、削減に向けた正確な分析が効率的にできるとしている。

 さらに、同サービスを活用することで、GHG排出量以外にも廃棄物や、労働安全、社会貢献活動など多様なESGデータ(非財務情報)を総合管理でき、国内の省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)対応に加えて、企業評価を高めESG投資を呼び込むためのCDPやTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)、SBT(Science Based Targets)、RE100(Renewable Energy 100)といった国際イニシアチブに基づく情報開示が可能になる。

 最近の企業活動においては、財務情報だけでなく環境や社会問題などの非財務情報も積極的に開示することが企業評価の一つになるなど、環境経営の重要性が高まっている。2021年のCOP26では「産業革命以前からの気温上昇を1.5度に抑制するための努力を追求する」という成果文書が採択され、国際的な脱炭素化に向けた動きが加速している。企業は、GHG排出量算定などの実務に関する対応の充実が求められている。

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