ジェネレーティブAIの実装競争が激化か MicrosoftとGoogleが相次いで発表

ChatGPTに代表されるジェネレーティブAIのアプリケーションへの取り込み競争が激化している。

» 2023年03月17日 08時00分 公開
[山口哲弘ITmedia]

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 「ジェネレーティブAI」を巡る各社の競争が激化している。Microsoftは2023年3月14日(現地時間)、同社が検索用途向けにカスタマイズした大規模言語モデル「GPT-4」を検索エンジン「Bing」で動作させていることを明らかにした。一方、Googleは同日、「Google Cloud」と「Google Workspace」にジェネレーティブAIの機能を導入すると発表した。

Microsoftの発表と同日にAI実装強化の情報を開示したGoogle

 ジェネレーティブAIはガートナーが2023年のテクノロジートレンドとして打ち出した言葉だ。同社の定義によれば、「コンテンツやモノについてデータから学習し、それを使用して創造的かつ現実的な、まったく新しいアウトプットを生み出す機械学習手法」とされる。学習した情報を基に新たなコンテンツを生成する手法全般を指す。最近話題に上ることが多い対話型AIサービス「ChatGPT」や画像生成AI「Stable Diffusion」もその1例だ。

 GPT-4はOpenAIが開発した大規模言語モデルで、ChatGPTが利用する言語モデルの次世代版に当たる。Bingは既にGPT-4が利用できるようになっており、さらに今後OpenAIがGPT-4以降のアップデートを実施した際にも、Bingでそれらアップデートを利用できるとしている。

 一方、GoogleはGoogle Cloudに同社独自の大規模言語モデル「PaLM」やジェネレーティブAIサービス「MakerSuite」、データの前処理やAIモデル構築、予測やデプロイを担うプラットフォーム「Vertex AI」、AIアプリケーション開発プラットフォーム「Generative AI App Builder」といった既存AIサービスにジェネレーティブAI関連の新機能を追加する計画だ。テストユーザーはすでにVertex AIとGenerative AI App Builderで新機能を利用可能だ。PaLM APIとMakerSuiteについては、一部の開発者はプライベートプレビューで利用でき、ウェイティングリストについては近日中に公開予定だとしている。Google Workspaceについては、「Gmail」や「ドキュメント」「スライド」「スプレッドシート」「Meet」「Chat」にジェネレーティブAI関連の新機能を導入する計画だ。

 具体的には、Gmailは「下書き」や「返信」「要約」「優先順位付け」、ドキュメントは「ブレインストーミング」「校正」「執筆」「書き直し」といった機能を備える。スライドには、「自動生成された画像やオーディオ、ビデオを使ってビジョンを作成する機能」が実装される。スプレッドシートの新機能は「元データから洞察や分析につなげる」「自動補完や数式生成」「文脈に応じた分類」だ。Meetには「新しい背景を生成して会議のメモを作成する」機能、Chatには「物事を進めるためのワークフローを実現する機能」がそれぞれ追加される。

 これらの情報はMicrosoftがGTP-4の自社サービスへの実装を発表した当日に公開された。

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