通信が途切れても生産ラインを止めないデータ収集の方法は? 大同ゴムの事例

大同ゴムが生産革新と技術継承に向けたデータ基盤の整備を進める。ネットワークが断絶しても生産現場のデータ収集に影響なく稼働し続けられる仕組みを採用した。

» 2023年04月06日 08時00分 公開
[山口哲弘ITmedia]

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 工業用ゴム製品の製造を手掛ける大同ゴムが生産革新と技術継承に向けたデータ基盤の整備を進める。新システムは2021年3月から稼働している。ポイントは生産ラインを止めない手法を選択したことにある。

ネットワークが止まっても生産ラインを止めない方法を選択

 今回の施策のカギは、ネットワーク障害が発生しても生産現場を止めずにデータを収集する仕組みをどう構築するかだ。

 目的や用途に応じた受注生産品が多く多品種少量生産に対応している大同ゴムは、現場のノウハウを標準化して生産の効率化を図るため、生産帳票をシステム化していた。

 従来のシステムでは、本社に設置したサーバと工場の現場をVPNで接続していたため、ネットワークに障害が発生すると生産現場に必要なシステムにも影響が及ぶ。そのため、ビジネス継続性にとってデータの可用性が課題となっていた。生産に関わるシステムは現場で運用したいという要求があったものの、工場にはシステム管理者がいない。故障しても業務が止まらず、運用管理にも手間がかからない仕組みが必要だった。

 こうした課題を解決するために大同ゴムがBCP施策として採用したのが日本ストラタステクノロジーの「Stratus ztC Edge」だった。ztC Edgeは運用や保守に手間がかからず、運用負荷とコストを軽減し、人的リソース不足の解決を図れる点が特徴だ。設置拠点にIT管理者がいなくても稼働させられる。自律監視機能と自己保護機能を備えており、冗長化された2台のノードが1つのシステムとして動作する。片方のノードで障害が発生しても、自動的にもう片方のノードに処理を切り替えて、無停止で稼働を継続する。さらに10年間の長期保守契約に対応する。

導入したシステムの校正概要(出典:日本ストラタステクノロジーのプレスリリース)

 大同ゴムによると、2021年3月の稼働開始から約2年が経過した現在まで、ztC Edgeは一切トラブルがなく無停止で稼働している。従来は平均すると2カ月に1回程度発生していたシステムダウンによる業務停止のリスクを排除できたとしている。

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