FedExが業務とネットワークの見直し 長期的なコスト削減のためかSupply Chain Dive

COVID-19で高まった需要が激減する中、宅配大手FedExは「DRIVE」プログラムと「Network 2.0」による大規模かつ長期的な変革に着手している。それにより数十億ドルのコスト削減を目指すという。

» 2023年04月07日 08時00分 公開
[Max GarlandSupply Chain Dive]

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Supply Chain Dive

 FedExは輸送サービスの需要が低迷する中(注1)、長期的に数十億ドルのコスト削減を実現するためにオペレーションとネットワークの見直しを進めている。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって起きた配送ブームは、同社や他の小包輸送業者にとって過去のものだ。実際に荷主が景気後退に備えることで、配送量が低迷している。このような環境の中で、FedEXはサービスの縮小(注2)、レイオフ(注3)、便数の削減など(注4)、目先のコスト削減策を次々と打ち出している。

「Network 2.0」と「DRIVE」で大幅な変革に乗り出す

 一方、FedExは「Network 2.0」という取り組みと「DRIVE」と呼ばれるプログラムを通じて(注5)、「Express」「Ground」「Freight」といった各事業部門に長期にわたる大規模な変革を導入する見込みだ。これらについては2023年後半に詳細を発表する予定だ

 FedEXの社長兼CEO(最高経営責任者)のラジ・スブラマニアム氏の見解によると、同社は顧客にとって最も柔軟で効率的かつ高度なサプライチェーンへと変貌を遂げつつある。

 同氏は2023年2月1日(現地時間)に発表した従業員へのメッセージの中「このプロセスは急速に変化する環境の中で競争力を維持するために不可欠であり、幾つかの難しい決断を必要とする」と述べている(注6)。

 今後数年間で同社のビジョンが現実になり、数百万個の荷物が日々移動する配送の様子は現在とは異なるものになるかもしれない。しかし、DRIVEとNetwork 2.0を通じて効率を追求する同社の改革の規模は大きく、滞りなく実現するのは容易ではない。

 Third Bridgeのアナリストであるアンソニー・デ・ロイター氏は「これほどの規模の組織再編やネットワークの最適化はまれなことだ」と見解を述べている。

DRIVEはユニット全体のオペレーション変更を目指す

 世界経済の先行きが不透明な中、FedExは自社でコントロールできることに集中している。スブラマニアム氏は2022年12月の決算説明会で「構造的なコストを削減し、利益ある成長を促進する」と述べた(注7)。

 DRIVEの中心にあるのは業務全体の効率化による経費削減だ。このプログラムによって2025年度までに40億ドル以上のコストを削減し、駅や配送ルートを統合するNetwork 2.0の基礎を築けるとFedEXは期待する(注8)。

 同社はDRIVEの対象となる3つの分野を決定しており、これらの分野における変化はカスタマーサポート機能のデジタル化からGroundのラインホールのトレーラー1台当たりの荷物を増やすための新しいプロセスの導入まで多岐にわたる。

 FedEXのCFO(最高財務責任者)のマイク・レンツ氏の2022年9月(現地時間)の決算説明会での発言によれば、このプログラムの大部分は路線を減らし、乗務員や航空機、商用ラインホールをより効率的に配置してExpressのネットワークを再構築することにある。Expressは直近の四半期で営業利益が前年同期比64%減となり(注9)、すでに経費削減のために飛行時間の短縮などを進めている。

 DRIVEは、長期的にはExpressの航空ネットワークが需要の変化に対してより機敏になり、輸送の延期や時間的制約の少ない輸送サービスへの関心の高まりに対応できるようにするものだ。企業はインフレ圧力が高まりを受け、出荷速度を犠牲にしてでもより低コストの延期サービスを求めるようになっている。

 「まずは積載密度を向上させるためにネットワークを変更し、その次に延期輸送のためにパートナーネットワークをどのように活用するかを検討する」と、スブラマニアム氏は語っている。同社は2023年前半に、DRIVEプログラムに関するより詳しい情報を電話会議にて提供する予定だ。

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