「人も、経営層の理解も、予算も足りない」 ないない尽くしの中小企業のDX、どうすべき?(2/2 ページ)

» 2023年04月25日 08時00分 公開
[山下竜大ITmedia]
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asleadのセキュリティサービスでジョーシスを展開 NRIとの協業

 NRIは大企業を中心に、DX推進やセキュリティ強化をサポートしている。ジョーシスとの提携に至った背景について、NRI常務執行役員 マルチクラウドインテグレーション事業本部長の大元成和氏は、次のように語る。

 「ジョーシスとNRIの組み合わせは意外かもしれませんが、大企業のグループ会社やサプライチェーン全体のDX推進、セキュリティ強化の問い合わせが増えています。そうした要望に応えるためには、NRIだけではスピードやコストの面で対応が難しいこともあり、ジョーシスとの協業が有効と判断しました」

 現在、NRIはグループ全体でサステナビリティ経営の実現に取り組む。その一環として活力ある未来社会の共創、最適社会の共創、安全安心社会の共創の3つの価値共創を通じた社会課題の解決を掲げている。最大のポイントは「共創」だ。NRIだけで実現することが難しいことを顧客や社会、パートナーとともに実現することを目指す。

 NRIがジョーシスとの共創によって推進する販売戦略は次の3つだ。

  1. 最適なSaaS利活用を推進して企業価値を高める
    • 業務効率化、ボーダーレスなビジネスの創出と推進、企業競争力の強化
    • NRIのコンサルティング、ITソリューションのノウハウをジョーシスと組み合わせてトータルサービスとして攻めのCITをサポート
  2. 安心・安全な利用促進に向けてaslead(注1)の製品群との連携
    • 一部の部署でしか利用できていないSaaSを、全社で安心して使える環境作り
    • ジョーシスをハブとして各種SaaSとのさらなるシナジーを創出
  3. 対象とする企業・マーケットの拡大
    • エンタープライズから中小企業へとマーケットを拡大
    • 顧客の声に基づき、ジョーシスとより良いCITを共創
    • ともにグローバルへ進出し、世界で新たな価値を創造

 大元氏は「これにより、いずれ来るSaaSカオスを乗り越え、未来のクラウド社会を構築し、企業価値向上のための攻めのCITに取り組んでいきます」と話す。

 「asleadは、DX時代のビジネスにおける全ての業務の生産性、スピードを向上させるトータルサービスです。CIT向け、開発向けのマネジメント向けサービスや開発者向けサービス、ビジネス部門向けサービス、セキュリティサービスの4つから構成されています。このうちのセキュリティサービスで、ジョーシスを展開します。現在、十数社の企業と導入プロセスを進めており、2023年に60社、2025年にはasleadの導入企業を中心に200社以上への導入を目指します」(大元氏)

図3 システム開発、オフィス業務の生産性向上のための製品、サービスをトータルに提供(出典:NRIの提供資料) 図3 システム開発、オフィス業務の生産性向上のための製品、サービスをトータルに提供(出典:NRIの提供資料)

「攻めの情報システム部門」への変革を支援 マクニカとの取り組み

 マクニカは半導体やネットワーク製品など、世界中から集めた最先端テクノロジーを提供するVAD(高付加価値ディストリビューションモデル)モデルと、顧客の課題を解決するサービスソリューションを提供するサービスソリューションモデルの2つの事業モデルを展開している。

 マクニカ ネットワークス カンパニー バイスプレジデントの吉井奉之氏は「(当社の)事業の中心は半導体やセキュリティ、ネットワークの分野です。ジョーシスとの協業では、サイバーセキュリティの領域でマクニカの強みとジョーシスとのテクノロジーを組み合わせた、中小企業を元気にするサポートを提供します」と話す。

 マクニカは「セキュリティ研究センター」も運営しており、日本を狙った標的型攻撃に関する知見をリサーチや教育、カンファレンスなどを通じて社会に還元したいとしている。

 同社はジョーシスとの協業によって、まずは中小企業の情報システム業務を包括的に支援する体制を整備する。さらにジョーシスのITデバイス、SaaS統合管理クラウドサービスとマクニカが培ったセキュリティ知見に基づくセキュリティ運用・監視サービスを組み合わせた中小企業向けのIT基盤の第1弾を提供する。シナジー効果を発揮することで、「攻めの情報システム部門」への変革をサポートするとしている。

図4 独自の機能だけでなく、より便利な機能をジョーシスと一緒に検討・開発(出典:マクニカの提供資料) 図4 独自の機能だけでなく、より便利な機能をジョーシスと一緒に検討・開発(出典:マクニカの提供資料)

 吉井氏は「ジョーシスをコア製品として販売するとともに、マクニカ独自の機能や価値を付加することで、より便利な機能をジョーシスと一緒に検討、開発します。今後は、ジョーシスの支援機能や支援サービスの拡張、販売パートナーとの協業などにも取り組みます。こうした取り組みによって2023年度に80社、2027年度には1000社に価値を提供することを目指します」と話す。

 ジョーシス、NRI、マクニカの3社による今後の展望について松本氏は「日本経済の中核を担う中小企業の課題を早期に解決するために必要なのは、戦略的なパートナーです。IT人材不足にあえぎ、DX推進が思うように進まずに苦しんでいる中小企業をジョーシス、NRI、マクニカの3社で最大限にサポートします」

 今後、ジョーシスは国内におけるサービスの拡大、海外における新規ローンチを予定しており、事業、製品の成長を支えるパートナーシップを継続的に拡大する計画だ。

(注1)NRIが提供するシステム開発や業務の生産性向上のための開発管理統合サービス

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