データを使って意思決定したいと考える企業が増えている。一方で理想と現実には乖離(かいり)があるようだ。「意思決定をAIに任せたい」くらい困っている企業に足りないものとは。
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企業を取り巻くビジネス環境はすさまじいスピードで変化しており、ビジネスリーダーは意思決定に圧迫感や能力不足を感じている。Oracleが2023年4月20日に発表したグローバル調査「意思決定のジレンマ」によれば、ビジネスリーダーの85%が過去1年で意思決定に後悔や罪悪感、疑問などを抱き、苦悩を経験したという。また、回答者の72%が膨大なデータやそれに対する信頼の欠如が意思決定を妨げているとした。
同調査は日本を含む17カ国で14000人に調査したものだ。調査の中で特に注目すべきは、回答者の70%が「意思決定をAI(人工知能)に委ねる」とした点だ。AIに注目が集まる今日だが、ビジネスリーダーは本当に意思決定をAIに委ねてよいのだろうか。ビジネスリーダー自らがデータを活用して意思決定をするために必要なことを、Oracleのジョーイ・フィッツ氏(アナリティクス プロダクト ストラテジー担当バイスプレジデント)に話を聞いた。
「調査(意思決定のジレンマ)の中で、80%を超えるような回答が多くみられ、これほどに多くのビジネスリーダーが同じ悩みを持っていることに驚きました。また、データの増加が意思決定を困難にしていることも明らかになっています。データは減ることはなく、今後も増え続けます。われわれはこのような課題解決に取り組まなければなりません」
フィッツ氏は調査の結果を受けて、このように課題感をあらわにした。
データ活用は企業にとって欠かせないものだ。他社との競争に勝ち、より効率的にビジネスを進化させるためにデータの重要性が高まる一方、その増加のスピードに人が追い付けず、手に負えなくなっているのが現状だ。
このような課題を克服するには、効率的にデータを集約し、それを使いやすいフォーマットで表示することが効果的だ。フィッツ氏は「Oracle Analytics」などのデータに対応したプラットフォームであれば、迅速で正確な意思決定ができるようになると自信を見せた。
「データの関連性を視覚的に表示することで、膨大なデータを容易に理解できるようになります。またコーディング不要で使えるため、スキルがなくともすぐに使えます。その結果、組織でのデータ活用が進み、迅速な意思決定が可能になるでしょう」(フィッツ氏)
多くの企業がデータ活用のためにツールを導入している。この調査の回答者が所属する企業の大半も何かしらのツールを活用しているだろう。実際に93%の回答者が「ビジネスリーダーが適切な意思決定インテリジェンスを持つことが組織の成功を左右する」と回答している。一方、「データを扱いきれずAIに任せたい」という回答が半数を超えていることを考えると、容易にデータを扱えるようなツールを導入しても実際に活用するには何かしらの壁があるということだ。
この点についてフィッツ氏は、「ツールの導入でデータを扱えるようになるわけではありません。データを活用してビジネスの成長させたり意思決定を行ったりするためには、組織のカルチャーが重要なのです。データ活用に取り組む組織の姿勢がなければなかなか従業員はデータ活用を推進できません」と見解を述べた。
どれだけツールが高性能でも、ユーザー側の組織風土や姿勢が十分でなければツールを使いこなしてビジネスを進化させることはできない。「何が組織に足りていないのか」を明確にし、変化を恐れない姿勢が必要だ。
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