学習に取り組む中で「モチベーションが保てない」という方もいるでしょう。そのような場合はユーザーグループの活用が有効です。Microsoft MVPのアワード受賞者やITコミュニティーリーダーが場の雰囲気を含めしっかりとサポートしてくれます。
多くの方が集まる場は苦手だという方に向けて、「YouTube」で情報共有してくれるITコミュニティーリーダーを紹介しておきます。「Power BI Weekly News」では、Microsoft MVPの清水優吾氏と石川陽一氏が定期的に情報発信しています。
「Power Apps Weekly News」では、Microsoft MVPの山田晃央氏と表田 陽氏が情報発信しています。
Microsoft MVPの長尾浩明氏が書いている技術Blog「Power Automate・Power Apps 技術Blog」も必見です。よく「ここで得た知識を活用してPower Appsや『Microsoft Power Automate』の課題を解決できた」と耳にします。
Dynamics 365 Business Central(SMB ERP)に関しては、Microsoft MVPの朱 贇氏による技術Blog「Dynamics 365 Lab」があります。ハンズオンを含めた無償の場を探している場合は「Japan Dynamics 365 User Community」が定期的にセッションを開催しています。
「書籍で学びたい」という方もいるでしょう。筆者がお薦めする書籍群が以下の図16です。
日本マイクロソフトやそのパートナーがホストするセミナーやイベントに興味がある方もいるでしょう。直接Microsoftに質問をしたいという場合はイベントへの参加も可能です。
有償サービスで実践的な知見を高めたい場合は、Dynamics 365やPower PlatformでビジネスをしているMicrosoftのパートナー企業にコンタクトするのも手です。
海外のカンファレンスに参加したいというMicrosoftのパートナー企業(SMB領域でビジネスを展開)の方には、日本からの移動時間や日本人の英語力、得られる知識や経験を考慮して、アジアで開催されている「Directions Asia」がお勧めです。
直近のDirections Asiaは2023年4月27〜28日にタイのバンコクで開催され、次回もバンコクで2024年に開催される予定です。欧米からも相当数の関係者が集まります。経営層や人事部門の方が参加すれば、海外から日本を知る貴重な機会になるでしょう。実際の参加者の声として、初参加したCDataの疋田圭介氏(代表社員職務執行者)のブログが参考になります。
日本人として、ライブコーディングセッションに登壇したメンバーの1人にソントレーゾの中村亮太氏(CTO:最高技術責任者)がいます。同氏はローコードの普及活動に取り組んでおり、Microsoft MVPも受賞しています。登壇ブログもあるので、興味のある方はチェックしてみてください。
上記2人と共同で担当したセッションでは、ライブコーディングならではのハプニングが発生しても柔軟かつ巧妙に対応できました。「No Look Pass」や「No Look Catch」という表現を筆者は自社向けに使っていますが、お互いに「この人ならこうするだろう」という想定ができると、アンストラクチャーな状況でも補完し合えるチームになります。また、瞬時に対応できるだけの経験や準備も大切です。このようなデベロッパーエクスペリエンスがDXを強力に推進するエンジンになります。
Dynamics 365(CRM/ERP)やPower Platformの学習方法はさまざまです。一般的にMicrosoftのビジネスアプリケーションパートナーとしてはじめて製品導入に関わる場合、コンサルタントやエンジニアに数回の導入経験は欠かせません。一方、ユーザー企業側にとってはCRM/ERPの導入は数年に1度程度のペースで、仮にプロジェクトが失敗すれば予算確保も厳しくなります。
一般的にプロジェクトの成否はユーザー企業がプロジェクトに費やした時間に比例するため、最初から内製化するつもりで取り組むことが大切です。導入ベンダーのコンサルタントやエンジニアがユーザー企業以上にビジネスナレッジをプロジェクト期間中に習得するのは難しく、品質を保つためにはユーザー企業側も製品知識を学び、導入時にベンダー依存にならないことが重要です。
導入パートナーに任せ続けるとベンダーロックインになりやすく、自社側で手出しできなくなります。あなたの会社が「学ばない日本人」「人材に投資しない日本企業」と酷評されないよう、自社でプロジェクトのイニシアティブをとり、組織一体となってDXを推進しましょう。IT人材の採用が難しい場合は市民開発者の育成が効果的です。また「早めに失敗してくれてありがとう」といえる組織文化を目指しましょう。
2022年12月からスタートした本連載。第1〜第5回では「Microsoftのビジネスアプリケーションの全体像」「ERP領域」「CRM領域」「ローコード領域」「AI(人工知能)領域」を、そして本稿では「学び方やITコミュニティー」を解説しました。現代社会には多くの情報があります。だからこそ、正しい情報を効率的に収集するために必要な内容をお届けしました。
次回以降は、Microsoftのビジネスアプリケーション領域でビジネスを行っているパートナー企業やビジネスアプリケーション領域のITコミュニティーで活動をしているMicrosoft MVPを紹介していきます。
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