オンプレミスでの生成AIモデル構築を簡易に、DellとNVIDIAが「Project Helix」を発表

生成AIの利用が注目されるが、機密情報をどう取り扱うかを課題とする企業は多い。DellとNVIDIAは、生成AIモデルをオンプレミスで構築するための共同イニシアチブ「Project Helix」を発表した。事前構築済みのツールによる一連のフルスタックソリューションを提供する。

» 2023年05月26日 08時00分 公開
[山口哲弘ITmedia]

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 Dell Technologies(以下、Dell)とNVIDIAは2023年5月23日(現地時間)、生成AI(人工知能)モデルをオンプレミスで構築できるようにするための共同イニシアチブ「Project Helix」を発表した。

 Project Helixは、DellとNVIDIAの技術ノウハウやインフラストラクチャーとソフトウェアを基盤にした事前構築済みのツールによる一連のフルスタックソリューションを提供するイニシアチブ。これには、ユーザー企業が自社独自のデータを活用して、生成AIを展開できるようにするためのプランも含む。

オンプレミスでの生成AIモデル構築に必要な環境をフルスタックで提供、その構成は?

 Project Helixでは、「PowerEdge XE9680」や「PowerEdge R760xa」といったDellのサーバ「Dell PowerEdge」と、NVIDIAの「NVIDIA H100 Tensor Core GPU」やネットワーキングを組み合わせる。さらに、「Dell PowerScale」や「Dell ECSエンタープライズ向けオブジェクトストレージ」といった非構造化データストレージと連携させる。 ソフトウェアとしては、NVIDIA NeMo大規模言語モデルフレームワークや、生成AIチャットbotを構築するための「NeMo Guardrails」ソフトウェアなどを含む「NVIDIA AI Enterprise」を提供する。これらのハードウェアとソフトウェアをテスト済みで、生成AIの展開を簡素化する。これらはDellが提供し、ユーザー企業はカスタマイズしたAIアプリケーションを迅速に展開できるとしている。

 Project Helixは、インフラストラクチャーのプロビジョニングやモデリング、学習、チューニング、アプリケーションの開発、展開から、推論の展開と結果の合理化まで、生成AIのライフサイクルをサポートする。さらに「Secured Component Verification」などのセキュリティーとプライバシーの保護機能を基礎コンポーネントに組み込んでおり、ユーザー企業はオンプレミスのデータを保護することで、内在的なリスクを軽減できるだけでなく、さまざまな規制要件を満たせるという。

 Dellのバイスチェアマン兼共同最高執行責任者(COO)を務めるジェフ・クラーク氏は、「Project Helixは、膨大なデータから価値を得るために、企業に専用のAIモデルを提供する」と述べている。

 一方、NVIDIAの創業者でCEOを務めるジェンスン・フアン氏は、「当社はDellとともに、ユーザー企業が独自のデータを使用して生成AIアプリケーションを構築・運用することでビジネスを変革できるようにするインフラストラクチャーを設計した」と述べている。

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