KPMGが実施した調査によれば、多くの企業がAI技術に100万ドル以上の投資を計画している。既に税務や財務部門でAIを利用している企業も多い。調査が指摘する“AIとの共存”に必要な事とは。
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KPMGが米国の経営幹部500人に実施した調査(実施期間:2023年3月10〜30日)によれば、回答者の約70%が「税務関連業務の自動化のために、今後1年間でAI(人工知能)に100万ドル以上の投資を計画している」と回答した。
調査結果の報告書によると(注1)、回答者の59%が「ワークフローを効率化してスタッフの負担を軽減することを目的に、既に税務または財務部門でAIを利用している」と回答した。回答した企業の41%がいまだにAIを利用していないが、ほぼ全員がAI利用に関心を持っているという。
KPMGのブラッド・ブラウン氏(税務テクノロジー&トランスフォーメーション部門 責任者)は「AIは『税務部門の変革にテクノロジーを導入する企業』と『取り残される企業』という現実を生み出すだろう」と述べている(注2)。
生成AI「ChatGPT」の登場を皮切りに、AIはさまざまな企業や人から注目を集めている。複雑な質問に答えたり、エッセイや詩を書いたり、ソフトウェアコードを書いたりすることも可能だ。
Gartnerが2023年5月に発表した調査では(注3)、企業幹部の70%が「自社で生成AIを調査し、導入検討している」と回答した。回答者の20%近くが「自社のAIプロジェクトは『試験的または本番モード』にある」とした。45%の回答者は「ChatGPTに関する情報が自社にAI投資の増加を促した」とした。
KPMGによれば、税務は経営幹部がAI投資の側面で注目している分野の一つだ。税務の自動化に備えて、今後1年間でAIに100万ドル以上の支出を見込んでいる組織は70%だが、そのうち40%は少なくとも1000万ドルの投資を計画している。
KPMGの報告書によると、既に多くの税務部門が「定型業務の自動化」「潜在的な税務リスクの特定」「コンプライアンスと報告の精度向上」「税務計画と予測の強化」などにAIを利用している。AIは、税務部門が多くの情報に基づいた意思決定を行うのに役立つ。実際に情報に基づいたパターンやトレンドを導きだしているという。
同報告書は「AIが進化すれば、より複雑な業務を担えるようになる。経営幹部はAIが税務部門の人材戦略を変えると考えている。人とAIの総合力を生かすには、役割とスキル要件の全体的な見直しが不可欠だ」と指摘している。
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