SAPジャパンがシステム移行を支援する新サービスを発表 旭化成の活用事例とは

基幹システムの移行を支援するために、SAPジャパンはクラウドサクセスサービス事業を開始した。本稿はその取り組み概要と旭化成の活用事例を紹介する。

» 2023年09月20日 08時00分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 SAPジャパンは2023年9月14日、クラウドサクセスサービス事業に関する説明会を実施した。同説明会では実際のサービス活用事例として、旭化成が「SAP S/4HANA」に移行したことも発表された。

クラウドサクセスサービス事業の取り組みと旭化成の事例

SAPジャパンの堀川嘉朗氏

 SAPは、同社が提供するクラウド製品の導入から活用までを一貫して支援するクラウドサクセスサービス事業本部(CSS)を設置しており、SAPジャパンの堀川嘉朗氏(常務執行役員 クラウドサクセスサービス事業本部長)はCSSについて「国境や言語を超えたカスタマーサクセスチームを育成しており、約2万2000人の専門家が世界中で顧客成果の提供やパートナーエコシステムの拡大、エクスペリエンスの簡素化、クラウドマインドの導入を行っている」と話した。

 CSSが提供するサービスは以下の図1の3つだ。

図1 CSSが提供するサービス(出典:SAPジャパン提供資料)

 「基盤となるコンテンツとサービス」は「SAP Enterprise Support」「Embedded launch activities」で、「拡張されたサポートとサービス」は、「SAP Preferred Success」「SAP Cloud Application Services」「SAP Cloud Service Development」で、「個社向けの特別なエクスペリエンス」は「SAP MaxAttention」「SAP ActiveAttention」で構成される。

 SAP Preferred Successは、SAPが提供するクラウドの利用を促進するもので、アドバイザリーによる導入と利用の促進やeラーニングによる育成支援などを提供する。2023年9月に、拡張版としてExpanded Editionの提供が開始している。

図2 SAP Preferred Successの概要(出典:SAPジャパンの提供資料)

 SAPは、個社向けの特別なエクスペリエンスとして「SAP MaxAttention North Star」を2023年10月から国内展開する予定だ。これは、同社の全てのポートフォリオをカバーし、中長期ビジネスとITの視点からロードマップの作成などが可能になる。

旭化成の取り組み概要

 CSSを実際に活用してシステムを刷新したのが旭化成だ。同社の従来の基幹システムは「SAP ERP Central Component 6.0」(ECC 6.0)だったが、保守サポート終了を見据え、システム刷新を計画し、新たなシステム基盤としてS/4HANAを採用した。

旭化成の寺田秋夫氏

 旭化成の寺田秋夫氏(執行役員 BTプロジェクト推進担当)は「2003年以来変更していない会計領域を中心にSAPの標準機能を活用している」と話した。新システムでは周辺システムとアドオンの削減を進め、「基幹系システムの属人化防止」「データの一元化」に取り組んでいる。実際にSAPの標準機能を利用し、データ変換を廃止することで、アドオン数を約2400から約1100まで削減したという。

図3 旭化成における基幹システム再構築のポイント(出典:SAPジャパン提供資料)

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