SNSへの投稿は悪手? スマホを“拾った”or“落とした”場合の正解を考える半径300メートルのIT

今やスマホは生活必需品です。これを拾うまたは落とした場合にはどうするのが正解なのでしょうか。筆者の身近で起こったスマホ紛失の経験からノウハウをお伝えします。

» 2023年11月07日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]

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 「スマホがない!」

 現代においてこれは一大事です。わが家でもつい先日、家族がスマホを紛失し、いろいろと事前準備や拾う側の話も絡んで勉強になることが多かったので、その体験から得たノウハウをシェアしようかと思います。結論から言えば親切な方のおかげで、スマホは無事に何事もなく手元に戻ってきました。本当にありがたいことです。

SNSへの投稿は悪手? スマホを拾った親切な皆さんにお願いしたい3つのこと

 まず、スマホを拾ったときに備えてぜひ覚えておきたいことが3つあります。今回はそれだけでも覚えていただけると、親切の輪が巡り巡ってこの世界をより良くしてくれるはずです。

その1.SNSに投稿しない

 まずはこれです。特にテーマパークや何らかの施設の中でスマホをはじめとした落とし物を拾ったときに、SNSに「こういうものを拾いました! 落とした方に届け!」といった投稿をする方がいます。これは一見親切に思えますが、セキュリティの観点から考えると最も悪手です。

 投稿を見たサイバー攻撃者が落とし物を横取りしてくる可能性もあります。ヒントになるようなことも不特定多数に公開してはいけません。他人の落とし物を自分の承認欲求に使わないように肝に銘じてください。

その2.施設もしくは警察に届ける

 ではどうしたらよいかというと、真っ先に施設の管理者もしくは警察に届けましょう。落とした人と直接やりとりしたい方はあまりいないと思いますし、第三者に落とし物を管理してもらう方が、後々のトラブルを回避できるはずです。もしスマホに連絡先が分かるように表示されていても、できる限り警察か落とし物があった施設(鉄道なら駅員など)に渡すことをお勧めします。

その3.できれば電源は“落とさない”

 これはできればのお願いなのですが、スマホの電源は落とさないことをお勧めします。最近のスマホのほとんどは紛失防止用に位置情報を送信し続けつつ、その他の操作をロックする「紛失モード」が設定できます。

 紛失モードにするためには落とした人が気づいて、PCや他のスマホを使って紛失した端末に設定を反映させる必要があります。電源が切れていると紛失モードにできない上に、悪意ある人に拾われて位置情報発信を停止するために電源を落としたと思われる可能性があります。

 拾って警察に届ける間に電話が来る可能性もありますが、それは無視してもいいような気がします。スマホを拾ったらまずはそのまま警察に届けましょう。ただし、ほとんどの鉄道施設は落とし物としてスマホを保管する際に電源を落とすそうです。

近年の「iOS」や「android」であれば、電源を落としたとしても最後の位置情報を送信してくれる(出典:筆者の「iPhone」の画面)

落としたあなたが今すぐやるべきこと

 落としてしまったあなたは、まず何よりも先に紛失モードに設定する必要があります。iOSであれば「設定」から一番上の自分の名前をタップし、「探す」→「iPhoneを探す」から、「“探す”ネットワーク」および「最後の位置情報を探す」がオンになっているかを確認してください。この設定が、スマホを落としたときに役に立つはずです。設定方法についてはこちらでも確認できます。

iPhoneをあらかじめ設定しておこう(出典:筆者のiPhoneの画面)

 「Android」でも「Google アカウント」が追加されていれば、同様の「デバイスを探す」設定がオンになっているはずです。設定方法についてはこちらを確認してください。これらが設定されていれば、PCなどから自分のアカウントにログインし、遠隔で紛失モードを設定できます。

「iCloud」にログインして「探す」から自分のiPhoneを紛失としてマークできる(出典:筆者のiPhoneの画面)

 スマホが普及するまで、携帯電話を紛失したときには、携帯電話事業者に連絡して電話の契約を一時停止することが最優先事項とされていました。しかしスマホは情報が蓄積された「クラウド」に接続できるのに加えて、最近では銀行口座にもアクセスでき、ATMからキャッシュカードなしで現金を引き出すことも可能です。このことから、まずは紛失モードに変更することを第一に動き、その後主に二要素認証を守るため、SMSを停止させるために携帯電話事業者に一時停止の連絡を送りましょう。

 ただし上述の通り、施設によっては拾得物のスマホの電源を切るというルールがあるようです。それでも電源を落とす直前の位置情報は分かりますので、大きなヒントになるはずです。

 もちろん普段から画面ロックを確実に実施し、ロック解除用の生体認証も忘れずに設定しておくことは重要です。万が一落としたときにもなるべくリスクが低くなるよう、平時での設定が重要になるのです。

スマホ保険も余裕があれば入っておくといい

 今回、親切な方が近くの交番に届けてくれたことで、家族のスマホは無事帰ってきましたが、それまでの1時間ほどは本当に身を切られる思いでした。最悪のケースを想像して精神的にまいってしまいましたが、最近はスマホの故障や紛失時のための保険も各社が提供しています。こういったものを準備しておけば、紛失時にも少しは安心できるのではないでしょうか。

 最後に落としたときのための問い合わせ先を関連リンクに幾つかリストアップしておきます。スマホは毎日使うものでありながら、なくなることをあまり想定しないデバイスです。財布や鍵などは忘れ物タグなどを付ける人も増えたかもしれませんが、いざというときのために、一度はスマホの紛失モードのシミュレーションをしてみるといいでしょう。

 特に注意したいのは、外出先でスマホを紛失したケースです。公衆電話から家族に紛失モード設定をお願いするにしても、電話番号が分からないということもあり得ます。ぜひ財布に忘れ物タグとともに緊急連絡先のメモなどを入れておいてください。

著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

『Q&Aで考えるセキュリティ入門「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。

2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門 「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマホやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる。


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