Teslaが需要拡大に失敗、Xには新たな課金形態が追加? 在宅勤務者はマリー・アントワネットだCFO Dive

2023年第3四半期の決算によると、Teslaの営業利益が52%減ったと明らかになった。また、Xは特定の新規ユーザーに新たなサブスクモデルを適用するかもしれない。

» 2023年11月17日 08時00分 公開
[Grace NotoCFO Dive]

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 Teslaは2023年10月18日(現地時間)、2023年第3四半期の決算を発表した。2023年第3四半期の営業利益は前年四半期から52%減の17億ドルになり、営業費用は43%増の24億ドルに跳ね上がった(注1)。

 車両価格の引き下げや電動ピックアップトラックの「CyberTruck」、AI(人工知能)技術に関連する研究開発費の増加、工場閉鎖などが収益性低迷の一因となっており、同社が実施した車体価格引き下げは販売増加にはつながらなかった。

 Teslaのイーロン・マスク氏(共同創業者兼CEO)を含む経営陣は、価格引き下げを決定した要因に高金利を挙げた。マスク氏は決算説明会で「大多数の人にとって、車の購入は月々の支払いを引き上げることになる。つまり、もし高金利が続く、あるいはさらに高くなれば、人々が車を購入する余裕はなくなる」と述べた。

収益減でも依然として世界一の資産家であるマスク氏 独自の見解は

 マスク氏は決算説明会で高金利への懸念を何度も口にし、経済的にも地政学的にも将来像が明るくないことを指摘した。世界的に起きている戦争や紛争を考えると、消費者は新車購入を考えない傾向があると同氏は話す。

 ニュースメディア「CNBC」によると、Teslaは2023年の初めから「Model Y」や「Model 3」を含む製品の値下げを世界中で実施しており、第3四半期の販売台数が43万5059台だったと発表した2023年10月初めには、さらなる値下げを実施した(注2)(注3)。この数字は第2四半期の46万6140台から減少している。

 しかし、マスク氏は「米連邦準備制度理事会(FRB)が金利を5.25%から5.5%に引き上げ22年ぶりの高水準となった現状を考慮すると(注4)、Model Yの価格はほとんど変わっていない」と説明する。

 同社は製品値下げのバランスを取るためにコスト削減を試みているが、Teslaのヴァイバフ・タネジャ氏(CFO《最高財務責任者》)は「コスト削減には固有のタイムラグがあり、それが利益率に影響する」と述べる。第3四半期の営業利益率は前期の17.2%から7.6%に縮小した。売上高は前年同期比9%増の233億ドルとなったが、これは成長予想を下回っている。

 タネジャ氏は、Teslaに13年間勤務したベテランのザッカリー・カークホーン氏の退任に伴い、最高会計責任者からCFOの座に就いた。カークホーン氏はTeslaで4年間にわたりCFOを務め、2023年8月に退任した。「CFO Dive」は同氏が5億9000万ドルの純資産を手にしたと報じている(注5)。

 投資銀行のWedbush Securitiesのダン・アイブズ氏(マネージングディレクター兼シニアエクイティアナリスト)が「Fortune」に語った情報によると、CFOに就任したタネジャ氏はTeslaの利益率と価格引き下げを重要事項にしている(注6)。

 「納車台数の不足と不確実な経済状況を考慮すると、新たなCFOに対する投資家からの信頼性が問われる時期であることは間違いない。バラとシャンパンに囲まれるような華やかな状況ではない」(アイヴス氏)

 Teslaの第3四半期決算は、同社がEV市場で支配的な地位を維持しようと奮闘している中で発表された(注7)。2023年10月第2週に自動車エコシステムを展開するCox Automotiveが発表した報告書によると、TeslaのEV市場シェアは部門全体で過去最高の販売台数を記録したにもかかわらず、2023年第1四半期の62%から減少し、2023年第3四半期は過去最低のシェアである50%にまで低下した。

 マスク氏は2022年440億ドルで買収したソーシャルメディアサービス「X」(旧Twitter)をさらに収益化する試みとして、サービス価格に関しても言及している(注8)。Xは2022年に8ドルのサブスクリプションサービス「Twitter Blue」(現在は「X Premium」)を導入しており、今後はニュージーランドとフィリピンの新規ユーザーに1ドルのサブスクリプション費用を導入する予定だとニュースメディアの「Slate」は報じている(注9)。

 「Forbes」によると、マスク氏はTeslaの第3四半期決算後の株価下落で160億ドルの損失を被ったが、依然として世界一の富豪であり、純資産は約2300億ドルだ(注10)(注11)。同氏は決算説明会でテレワークに関する自身の考えを改めて共有した。

 マスク氏は「なぜ誰もが自宅で働けるようにしないのか」との質問に対し、「(そのように尋ねる人々に対して)まるでマリー・アントワネットのような雰囲気が漂っている」と答えた。

 マスク氏は「工場で作業する人々やレストランで料理を作る人々、配達する人々はどうなるのでしょう」と、2023年5月にCNBCで語ったテレワークに関するコメントと、在宅勤務者をマリー・アントワネットに例える話を繰り返した(注12)。

 「在宅勤務の人々は在宅勤務ができない人々を利用し、現実から遠ざかっている」(マスク氏)

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