“心の交流”を実現し、帰属意識を高めるオフィスを実現 TDCソフトの事例紹介編集部コラム

働き方が多様化し、オフィスの在り方が変化している。自社に合ったオフィスとはどのようなものなのか。TDCソフトが目指した「帰属意識を高める快適なオフィス」からヒントが見つかるかもしれない。

» 2023年11月22日 08時00分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 コロナ禍に私たちの働き方は大きく変わった。「コロナ禍以前からテレワークがメインでした」という読者も少なからずいるだろうが、多くの読者はコロナ禍をきっかけにテレワークを経験することになったはずだ。

 筆者が所属するアイティメディアはテレワークを働き方の基本とし、コロナ禍中にオフィスを縮小した。一方、会社によってはテレワークを廃止し、オフィス出社メインの業務スタイルに戻すところもあれば、ハイブリッドワークを定着させている企業もある。

 働き方の多様化が進み、企業担当者を悩ませているのは「オフィスの在り方」だ。出社する従業員が少ないのなら固定費削減を目的にオフィスの縮小を考えるべきかもしれない。一方、オフィス出社が少なくなると従業員の組織に対する帰属意識が低下する可能性もある。オフィスの在り方に絶対の正解はないが、大事なことは「自社に合わせた形」「自社が目指す形」を明確にし、それを目指すことだ。

 本稿ではオフィスの在り方に悩む担当者に向けて、2023年10月から新オフィスで業務を始めたTDCソフトの事例を紹介する。

会話したい人も集中したい人も安心 にしてもお酒が飲めるなんて最高過ぎる

 TDCソフトは、新宿文化クイントビルに集約されていた本社機能を九段会館テラスへと移転し、2023年10月10日より稼働を開始した。現在、新宿文化クイントビルの空間は「TechnoGrowth Center Shinjuku」と名付けられた開発拠点になっている。

 九段会館テラスの新オフィスは「Re:Place」をコンセプトにしており、これには「変化の速いビジネス環境の中で、常に従業員が快適でコミュニケーションがとりやすく、高い生産性を発揮し続けられるように」という思いが込められている。このコンセプトもTDCソフトの若手従業員が考えたもので、TDCソフトの関口敏之氏(経営企画本部 広報室 課長代理)は「風通しの良い会社です。コンセプトはもちろん、オフィスデザインにも若手従業員の意見が多く反映されています」と話す。

 TDCソフトのオフィスは九段会館テラスの4〜5階で、4階には外部向けの展示や100人規模にも対応できるミーティングルーム、バックオフィス部署、エグゼクティブエリアが配置され、5階が従業員の作業スペースだ。

 TDCソフトが目指す“心の交流”を実現するために、さまざまな工夫が施されているのがこの5階エリアだ。図1にあるように、まず5階に入るとコミュニケーションエリアと呼ばれるレセプション関連の場所があり、ここを過ぎるとプレゼンテーションエリアがある。

5階のマップ。プレゼンテーションエリアがオフィスの中心にある(出典:TDCソフト提供資料)

 プレゼンテーションエリアは基本的にオープンスペースだが、業務発表やミーティング、セレモニーなど、さまざまな用途に合わせて自由に使用できる。興味深いのがオフィスのどこに行くにもこのプレゼンテーションエリアを通るという点だ。関口氏によると、新オフィスは「自然な導線で交流を生み出す」ことを目的にしており、「ただ働く」だけのオフィスではなく「出社したい」と思えるようなオフィス作りに励んでいる。従来、TDCソフトは「スーツにネクタイ」と服装にも決まりを設けていたが、現在はオフィスカジュアルも導入している。

プレゼンテーションエリアを紹介する関口氏。ライトの色なども変更可能で、多様な用途に対応可能だ

 「TDCソフトは出社義務を設けていないため、以前のオフィスでは管理部門の従業員などが出社しているのみでした。しかし、現在は若手を中心に出社率が上がっています」(関口氏)

 実際に筆者の取材日にオフィスで業務をしていた新卒従業員の方にオフィスの感想を聞くと、「会話がしやすく出社が楽しみ。モチベーションが上がる」などの意見を聞くことができた。

 TDCソフトの河合靖雄氏(取締役執行役員 経営企画本部担当 法人システム事業本部担当)も「新しい会社に生まれ変わりました。若手だけでなくベテラン従業員のモチベーションも上がっており、このような活動が広がって業界全体が盛り上がればと考えています」と語った。

TDC HUBが自社に欲しい読者は多いはず

 プレゼンテーションエリアを中心として、左右にはフリーアドレスの作業スペースが広がっている(図1参照)。プレゼンテーションエリアから離れるにつれて集中スペースになっていくのもこのオフィスの特徴だ。集中スペースにはモニターや個室ブース、ミーティングルームなどがある。

集中スペースの一部。私語は最小限だ

 関口氏は「新オフィスでは作業に合わせて場所を選択できます。同僚と話しながら作業するのはもちろん、一人で黙々と作業することも可能です。誰にでも快適なオフィスになっています」と話す。

 TDCソフトのオフィスで最も“魅力的な場所”が「TDC HUB」だ。TDC HUBはオフィス内にある小さなコミュニケーションイベント会場で、従業員は300円を払うことでアルコールを含む飲み物やおつまみを楽しめる。

 「TDCソフトの従業員の多くは、基本的にクライアント先に常駐して作業をしているケースが多いです。TDC HUBのような場所があれば、帰社したタイミングで気軽にコミュニケーションが取れるので従業員からも好評です」(関口氏)

TDC HUBの会場と冷蔵庫の中身。300円で飲み放題とは魅力的。バリエーションも豊富だ

 社外で働く従業員が多いからこそ、TDCソフトは帰社したタイミングで従業員同士が交流しやすいように、オフィスを進化させている。関口氏はオフィスについて「TDCソフトの新オフィスは従業員同士の“心の交流”を実現します。それが狙いです。今後も働きやすくなるように改善を重ねていきます」と語る。

 自社に合ったオフィスの在り方で従業員の働きやすさを向上させているTDCソフト。今後オフィスがどう進化していくのか、次回はTDC HUBで一杯頂きながら話を伺いたい。

取材対応ありがとうございました

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