両社は生成AI提供に関するパートナーシップを活用し、新たなクラウドサービスを発表した。IT化が遅れている業界を救えるのか。
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SalesforceとAccentureは2023年11月6日(現地時間)、生成AI(人工知能)とデータソリューションの提供を目的に、「Salesforce Life Sciences Cloud」を共同開発すると発表した(注1)。
Salesforce Life Sciences Cloudは、両社が2023年5月に発表した生成AIの開発ハブから生まれた。同ハブの目標は、医療や金融サービス、製造業、公共部門の組織向けに業界特有のAIモデルを構築することだ。
同ハブからは、クラウドベースの患者向けCRMソリューションや、Salesforceの「Einstein AI」とデータクラウドインフラを使用した医薬品分析ツールなどが既に誕生しており(注2)、Salesforce Life Sciences Cloudは医療およびバイオ製薬企業への提供を目的にしている。
膨大なデータのサイロ化や厳しい規制、老朽化したレガシーシステムといった問題を抱える医療業界では、依然としてシステムのモダナイゼーションが課題だ。しかし、コンプライアンスと安全性の確保がクラウド導入の妨げになっている。患者データを流出するリスクのあるソリューションとして、懸念が高まっているからだ(注3)。
SalesforceとAccentureは、業界の垂直統合により技術的なハードルを克服し、業界ごとのセキュリティ要件を満たしながらクラウド導入を容易にすることに加え、データ統合を加速して組織が生成AIツールを導入する道を開くことを目指している。
しかし、医療にクラウドベースのソリューションと生成AIツールの導入を目指すベンダーはAccentureとSalesforceだけではない。
Microsoftは2023年8月、クラウドベースの電子カルテソリューションを開発するために、ソフトウェア開発企業のEpic Gamesと提携した(注4)。Google Cloudは2023年10月、EHR(Electronic Health Record:電子健康記録)で訓練されたLLM(大規模言語モデル)である「Med-PaLM 2」を発表した(注5)。
AccentureとSalesforceは「既に製薬会社Cencoraにおいて、デジタルを使って患者のエンゲージメントを高める支援を手掛けている」と2023年11月6日の発表で述べている。
この新たなクラウドプラットフォームは、営業やマーケティング、その他の機能にわたってデータ統合機能を拡張することを目的にしている。
Accentureのエマ・マクギガン氏(シニアマネージングディレクター エンタープライズ&インダストリーテクノロジーズリード)は「科学とテクノロジーの急速な進歩は、治療の意思決定をより複雑なものにしている。データとAIは、ライフサイエンス企業が顧客との関わり方において差別化を図るうえで重要な役割を果たすだろう」としている。
Accentureの広報担当者は「CIO Dive」に対し「AccentureとSalesforceの協業は、以前発表されたAIへの30億ドルの投資と関連している」と語った(注6)。
(注1)Accenture and Salesforce Collaborate to Help Life Sciences Companies Create Differentiation with Data and AI(accenture)
(注2)Salesforce’s ‘Einstein’ to immerse product suite in AI(CIO Dive)
(注3)Healthcare CIOs name AI, ML top priorities of 2023, survey finds(CIO Dive)
(注4)Microsoft-Epic partnership yields EHR cloud solution(CIO Dive)
(注5)Google Cloud tunes generative AI for medical search capabilities(CIO Dive)
(注6)Accenture to invest $3B in AI and double AI workforce(CIO Dive)
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